平成が終わり、陰りを見せたぶいちゅっばブームが余韻すらも感じさせなくなったyoutube
数千人を超えたVの者も殆どが事実上引退し、ハニストもその波に逆らう事はできなかった
街灯だけが冷たく差し込む部屋に聞き慣れた歌が響く、「今日もまた100回再生か……」
ぶいちゅっばの歌が響く部屋の中、俺君は独りモニタの前で泣いていた
ぶいちゅっば ぶいちゅっば バーチャルな存在感
ぶいちゅっば ぶいちゅっば いつでも会えるよ
「会いたいよ……」俺君は涙を流し続けた

どれくらい経ったろうか、俺君ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいモニタの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、また洗脳トレーニングをしなくちゃな」俺君は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、俺君はふと気付いた

「こんばんわんわん…?」
部屋から飛び出した俺君が目にしたのは、つい先程まで眺め続けた顔だった
千切れそうなほどに尻尾が振られ、地鳴りのように心音が響いていた
「どうしたのぉ? 俺くぅん? 今日は炭酸スライム試そうって言ったでしょ?」
「パ……パトラちゃん様!?」
「なぁに? またアーカイブ漁って寝落ちでもしてたの?」
「パトラちゃん……!」
俺君は半分パニックになりながら手を引かれパトラちゃんを見上げた
「ずっと頑張って来たんだよね……えらいえらい」
両耳を撫でる手に流れる涙は寂しさとは無縁のものだった……

翌日、ヘッドホンを着けたまま冷たくなっている俺君が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った