!extend:none:none:1000:512
!extend:none:none:1000:512
エンタム(ENTUM)に所属するバーチャルYouTuberに関するアンチスレです
─────────────────────────────────
・スレを立てるときは先頭に「!extend:none:none:1000:512」を三行いれよう
・sage進行推奨。E-mail欄(メール欄/メ欄)に半角小文字で「sage」と記入。
・実況は禁止です。実況は実況板へ。
・次スレは>>900以降に立てられる奴が宣言してから立てること。(踏み逃げ/重複防止)
─────────────────────────────────
■YouTube/Twitter
月夜ソラ
https://twitter.com/Sora_Tsukiyo
https://www.you tube.com/channel/UCPwSREC85pZ3_ZW1MbEWf9Q
皆守ひいろ
https://twitter.com/HeroMinamori
https://www.you tube.com/channel/UCuGMkxJA_icuiF01u8f3Y2Q
花野蜜
https://twitter.com/MitsuHanano
https://www.you tube.com/channel/UCuwpvDAYMV0nV98DQk-W9mQ
エンタム(ENTUM)運営Twitter
https://twitter.com/entum_info
※配信予定は各自のツイッターから確認してください
※前スレ
さあミライを語ろう820
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/streaming/1547255330/
VIPQ2_EXTDAT: none:none:1000:512:----: EXT was configured
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account)
探検
塚本山新地part821
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
2019/01/12(土) 10:43:02.65
2019/01/12(土) 13:03:49.40
さくらみこ結局11時間もビートセイバーやってたんか…
2019/01/12(土) 13:03:54.70
>>254
ここで宗教戦争するな
ここで宗教戦争するな
2019/01/12(土) 13:04:09.21
>>246
命名規約がないだけじゃね?
命名規約がないだけじゃね?
2019/01/12(土) 13:04:31.27
>>251
あれにアカリが声の練習してた話入れたらグダるから仕方ない
あれにアカリが声の練習してた話入れたらグダるから仕方ない
2019/01/12(土) 13:04:40.53
2019/01/12(土) 13:04:53.03
2019/01/12(土) 13:05:09.01
>>236
的外れないじめコメントうぜえ
的外れないじめコメントうぜえ
2019/01/12(土) 13:05:11.82
>>254
カトリックはゆるゆるだから
カトリックはゆるゆるだから
2019/01/12(土) 13:05:15.10
さくらみこ11時間やって1.6万再生か
多いんだか少ないんだかもはやよくわからん
多いんだか少ないんだかもはやよくわからん
2019/01/12(土) 13:05:46.04
日本は多神教だから八百万の神々を信仰していい
2019/01/12(土) 13:05:52.04
>>262
最近のカトリックは世論に対して妥協的に過ぎるわ
最近のカトリックは世論に対して妥協的に過ぎるわ
2019/01/12(土) 13:06:09.37
>>259
おおさすがに泣きそうだぞ
おおさすがに泣きそうだぞ
2019/01/12(土) 13:06:34.13
2019/01/12(土) 13:06:48.10
>>259
更新間隔が違うだけで精度は似たり寄ったりだぞ
更新間隔が違うだけで精度は似たり寄ったりだぞ
2019/01/12(土) 13:07:16.57
>>249
キズナさん登場
VTRでvtuber説明
リアリティでヒゲもじゃおっさんが操作してる
クラスター加藤インタビュー
クラスター内でケモノ図ロボ子もちひよとバーチャルウドウがインタビュー
キズナさんに戻ってコメント
いくつか報道終えて天気をキズナがやる
有働アナ三連休どこに行きたいですか
キズナ雪合戦したいです
有働アナ画面でどうやって
キズナ沈黙
番組終了
ツイッターではvtuberの中身がおっさんだと疑惑から確信に変わった
キズナさん登場
VTRでvtuber説明
リアリティでヒゲもじゃおっさんが操作してる
クラスター加藤インタビュー
クラスター内でケモノ図ロボ子もちひよとバーチャルウドウがインタビュー
キズナさんに戻ってコメント
いくつか報道終えて天気をキズナがやる
有働アナ三連休どこに行きたいですか
キズナ雪合戦したいです
有働アナ画面でどうやって
キズナ沈黙
番組終了
ツイッターではvtuberの中身がおっさんだと疑惑から確信に変わった
2019/01/12(土) 13:07:28.90
271名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:07:36.67 >>261
思った 陽キャが陰キャを虐めてるとか的外れにも程がある
思った 陽キャが陰キャを虐めてるとか的外れにも程がある
2019/01/12(土) 13:07:45.15
もちひよこの性別に関しては誰も確信をもって語れない
2019/01/12(土) 13:07:46.58
2019/01/12(土) 13:08:25.29
有働アナとかいうガチアンチを許すな
2019/01/12(土) 13:08:28.42
>>269
え、なに最後の沈黙は…
え、なに最後の沈黙は…
2019/01/12(土) 13:08:28.87
>>269
やべぇな
やべぇな
2019/01/12(土) 13:09:01.15
>>268
3600は超えた超えないの話だからスクショないと証拠にならんってことだろ
3600は超えた超えないの話だからスクショないと証拠にならんってことだろ
2019/01/12(土) 13:09:02.87
>>273
よく考えるとこのサムネ意味不明過ぎない
よく考えるとこのサムネ意味不明過ぎない
2019/01/12(土) 13:09:06.63
>>269
有働アンチか?
有働アンチか?
2019/01/12(土) 13:09:19.84
>>273
なんかまずこれサムネが悪いよな
なんかまずこれサムネが悪いよな
2019/01/12(土) 13:09:28.57
>>273
ナンダこのサムネ
ナンダこのサムネ
2019/01/12(土) 13:09:30.10
>>274
吉田といい有動といいアナウンサーはバーチャル界に恨みでもあるのか
吉田といい有動といいアナウンサーはバーチャル界に恨みでもあるのか
2019/01/12(土) 13:10:03.63
>>273
何に矢印指してんだ
何に矢印指してんだ
2019/01/12(土) 13:10:16.91
サムネはガンダムネタで結構好きなんだけど
2019/01/12(土) 13:10:21.72
ミライ部って名称作るのも遅すぎたよな
一昨年のクリスマスライブでファン名作っておくべきだったろ
名前があるシロ組やそらともの結託はなんだかんだ強かったし
一昨年のクリスマスライブでファン名作っておくべきだったろ
名前があるシロ組やそらともの結託はなんだかんだ強かったし
2019/01/12(土) 13:10:33.85
有働アナはガチアイアンマンなんだ😭
2019/01/12(土) 13:10:36.57
エンタムが、ガンダムだ
2019/01/12(土) 13:10:41.38
>>285
アカリ団…
アカリ団…
2019/01/12(土) 13:10:41.43
猫宮は何を勘違いして自分がツッコミだと思ったんだろうな
寝てます?のフリ何度もしてもらっても同じことしか言えてなかったくせに
寝てます?のフリ何度もしてもらっても同じことしか言えてなかったくせに
2019/01/12(土) 13:10:57.32
サムネに対して中身が貧弱過ぎるだろ
2019/01/12(土) 13:11:06.53
>>273
これアナベル・ガトーのネタってアカリ知ってるのかな
これアナベル・ガトーのネタってアカリ知ってるのかな
2019/01/12(土) 13:11:20.41
>>289
かわいいじゃん
かわいいじゃん
2019/01/12(土) 13:11:29.02
>>285
シロの場合は本人イメージから指定暴力団だの言われてなんだかんだシロ組の名前が売れたのもでかい
シロの場合は本人イメージから指定暴力団だの言われてなんだかんだシロ組の名前が売れたのもでかい
2019/01/12(土) 13:11:33.63
2019/01/12(土) 13:11:35.41
2019/01/12(土) 13:11:51.15
>>285
練乳屋…
練乳屋…
2019/01/12(土) 13:12:14.95
236 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 2019/01/12(土) 01:02:14.39
upd8「情報商材送るぞ」
upd8「女性だけの箱に男とコラボ強制させるぞ」
upd8「VRで見れないVR配信するぞ」
upd8「同業者潰すぞ」
upd8「Vtuberはボイチェンのおっさんだぞ」
upd8「情報商材送るぞ」
upd8「女性だけの箱に男とコラボ強制させるぞ」
upd8「VRで見れないVR配信するぞ」
upd8「同業者潰すぞ」
upd8「Vtuberはボイチェンのおっさんだぞ」
2019/01/12(土) 13:12:31.64
そういや練乳屋の動画追ってないんだけど
ひいちゃんとかツキミさんって出たの?
ひいちゃんとかツキミさんって出たの?
2019/01/12(土) 13:12:32.85
2189のサムネも勢いあって悲惨さ倍増だった
2019/01/12(土) 13:12:34.99
>>289
背伸びしててかわいいじゃん
背伸びしててかわいいじゃん
2019/01/12(土) 13:12:57.17
>>297
アンチかよ
アンチかよ
2019/01/12(土) 13:13:04.62
>>269
いそまながおっさんとか信じないからな
いそまながおっさんとか信じないからな
2019/01/12(土) 13:13:13.79
>>297
これは界隈すべてを潰す意図を持った害悪
これは界隈すべてを潰す意図を持った害悪
2019/01/12(土) 13:13:23.15
今晩はDJイベントだ
気持ち切り替えて行こうぜ!!
https://i.imgur.com/LgGaY7k.jpg
https://i.imgur.com/Sz2xWZS.jpg
https://i.imgur.com/7ZLCbhw.jpg
気持ち切り替えて行こうぜ!!
https://i.imgur.com/LgGaY7k.jpg
https://i.imgur.com/Sz2xWZS.jpg
https://i.imgur.com/7ZLCbhw.jpg
305名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:13:27.582019/01/12(土) 13:13:40.58
>>298
蜜とソラおじが出たやつ以降投稿されてないぞにわか
蜜とソラおじが出たやつ以降投稿されてないぞにわか
2019/01/12(土) 13:13:45.19
旧世代のみんな〜
2019/01/12(土) 13:13:51.70
>>284
アトミックバズーカ自分に撃ってどうすんだ
アトミックバズーカ自分に撃ってどうすんだ
2019/01/12(土) 13:13:59.97
>>273
ACALLING
ACALLING
2019/01/12(土) 13:14:02.17
>>307
ユアッ!?
ユアッ!?
2019/01/12(土) 13:14:03.62
>>304
なんかガチャピン臭が凄い…
なんかガチャピン臭が凄い…
2019/01/12(土) 13:14:08.57
2019/01/12(土) 13:14:26.75
>>263
vtuber連続配信最長記録21時間は今後抜く人いないだろうが2番手にはなったか
vtuber連続配信最長記録21時間は今後抜く人いないだろうが2番手にはなったか
2019/01/12(土) 13:14:30.97
>>297
これVtuberアンチだろ
これVtuberアンチだろ
2019/01/12(土) 13:15:14.42
>>304
これ絶対おっさんのモーションだよね
これ絶対おっさんのモーションだよね
2019/01/12(土) 13:15:27.53
>>313
さっき誰かが姫鶴が24時間配信やるっつってたぞ
さっき誰かが姫鶴が24時間配信やるっつってたぞ
2019/01/12(土) 13:15:29.95
吉田も有働もジャーナリスト精神あってええやん
曖昧に聴き流してたら何も生まれんやろ
曖昧に聴き流してたら何も生まれんやろ
2019/01/12(土) 13:16:03.72
upd8ちゃんは無能なお調子者って
Twitterにも表れてるな
Twitterにも表れてるな
2019/01/12(土) 13:16:14.31
>>305
頭の回転はアカリと似たり寄ったりだよキズナ
頭の回転はアカリと似たり寄ったりだよキズナ
2019/01/12(土) 13:16:16.48
Vtuberって中身おっさんでしょ?って言われてもいまいち否定し辛いという
2019/01/12(土) 13:16:28.10
>>305
日本が生み出したスーパーAIだぞ
有働アナ「中の人の国籍や肌の色を超越できるんですね!」
キズナさん「ソッスネ……」
有働アナ「バーチャルな存在にはスキャンダルなどありませんものね!」
キズナさん「アィ……ソッスネ……」
日本が生み出したスーパーAIだぞ
有働アナ「中の人の国籍や肌の色を超越できるんですね!」
キズナさん「ソッスネ……」
有働アナ「バーチャルな存在にはスキャンダルなどありませんものね!」
キズナさん「アィ……ソッスネ……」
2019/01/12(土) 13:16:53.75
実際半分以上男性っていうね
2019/01/12(土) 13:16:55.98
Vtuber界のトップを擁する企業がVtuberアンチってマジ?
324名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:16:58.46 >>289
猫宮自身地蔵キャラを脱却したかったんじゃね? 頑張って変わろうとしてるのは応援したくなる
猫宮自身地蔵キャラを脱却したかったんじゃね? 頑張って変わろうとしてるのは応援したくなる
2019/01/12(土) 13:17:02.59
実際は20後半のおばさんがJKのフリしてるパターンが一番多い
2019/01/12(土) 13:17:23.51
中の人ネタなんて何年も前から言われてるんだからネタに昇華するくらいしてくれ
2019/01/12(土) 13:17:25.12
>>304
ロボ子なんか似合ってるな
ロボ子なんか似合ってるな
2019/01/12(土) 13:17:45.76
バ美肉文化はマジ消えてくれ
2019/01/12(土) 13:17:55.81
>>325
20代ならまだいいが…
20代ならまだいいが…
2019/01/12(土) 13:18:21.56
なんでこういう時にシロをキャスティングしないのか
企画練ったやつ数字だけで美味しい思いしようとしてるわ
企画練ったやつ数字だけで美味しい思いしようとしてるわ
2019/01/12(土) 13:18:28.99
バ美肉連中は総じてつまらないのが最大の問題だわ
2019/01/12(土) 13:18:33.77
6000人の3000人以上は男性
2019/01/12(土) 13:18:39.33
334名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:18:49.48 >>321
まだ月ノの方がコメント力高そう
まだ月ノの方がコメント力高そう
2019/01/12(土) 13:18:53.94
2019/01/12(土) 13:19:14.49
2019/01/12(土) 13:19:20.33
急にDJブッ込んできたのは久しぶりにムクり発動したんかな
キズナさんの大晦日じゃないライブイベントの方見て
キズナさんの大晦日じゃないライブイベントの方見て
2019/01/12(土) 13:19:25.59
Vtuberとアバター文化を混ぜるなよと
2019/01/12(土) 13:19:39.71
>>335
20代?
20代?
2019/01/12(土) 13:19:54.86
>>325
ゆえ〜🍒
ゆえ〜🍒
2019/01/12(土) 13:20:00.76
お銀
342名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:20:04.20 2eab2
2019/01/12(土) 13:20:09.06
アカリ15歳とかいうYUA16歳よりも誰も得しない設定捨てろよ
2019/01/12(土) 13:20:15.02
>>335
JK設定は無理があるやろ
JK設定は無理があるやろ
345名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:20:20.33 振返って、「それでどうしたの?」と突如として訊ねた。「え?」 反問した芳子は顔を曇らせた。「昨日の
話さ、まだ居るのかね」「今夜の六時の急行で帰ります」「それじゃ送って行かなくってはいけないじゃない
か」「いいえ、もう好いんですの」 これで話は途絶えて、二人は黙って歩いた。 矢来町の時雄の宅、今ま
で物置にしておいた二階の三畳と六畳、これを綺麗に掃除して、芳子の住居とした。久しく物置――子供の遊
び場にしておいたので、塵埃が山のように積っていたが、箒をかけ雑巾をかけ、雨のしみの附いた破れた障子
を貼り更えると、こうも変るものかと思われるほど明るくなって、裏の酒井の墓塋の大樹の繁茂が心地よき空
翠をその一室に漲らした。隣家の葡萄棚、打捨てて手を入れようともせぬ庭の雑草の中に美人草の美しく交っ
て咲いているのも今更に目につく。時雄はさる画家の描いた朝顔の幅を選んで床に懸け、懸花瓶には後れ咲の
薔薇の花を※(「插」のつくりの縦棒が下に突き抜ける、第4水準2-13-28)した。午頃に荷物が着い
て、大きな支那鞄、柳行李、信玄袋、本箱、机、夜具、これを二階に運ぶのには中々骨が折れる。時雄はこの
手伝いに一日社を休むべく余儀なくされたのである。 机を南の窓の下、本箱をその左に、上に鏡やら紅皿や
ら罎やらを順序よく並べた。押入の一方には支那鞄、柳行李、更紗の蒲団夜具の一組を他の一方に入れようと
した時、女の移香が鼻を撲ったので、時雄は変な気になった。 午後二時頃には一室が一先ず整頓した。「ど
うです、此処も居心は悪くないでしょう」時雄は得意そうに笑って、「此処に居て、まア緩くり勉強するです
。本当に実際問題に触れてつまらなく苦労したって為方がないですからねえ」「え……」と芳子は頭を垂れた
。「後で詳しく聞きましょうが、今の中は二人共じっとして勉強していなくては、為方がないですからね」「
え……」と言って、芳子は顔を挙げて、「それで先生、私達もそう思って、今はお互に勉強して、将来に希望
を持って、親の許諾をも得たいと存じておりますの!」「それが好いです。今、余り騒ぐと、人にも親にも誤
解されて了って、折角の真面目な希望も遂げられなくなりますから」「ですから、ね、先生、私は一心になっ
18c482a1c4
うことの味をも知って、人間の卑しいことを隠して美しいことを標榜するという群の仲間となった。母の膝下
が恋しいとか、故郷が懐かしいとか言うことは、来た当座こそ切実に辛く感じもしたが、やがては全く忘れて
、女学生の寄宿生活をこの上なく面白く思うようになった。旨味い南瓜を食べさせないと云っては、お鉢の飯
に醤油を懸けて賄方を酷めたり、舎監のひねくれた老婦の顔色を見て、陰陽に物を言ったりする女学生の群の
中に入っていては、家庭に養われた少女のように、単純に物を見ることがどうして出来よう。美しいこと、理
想を養うこと、虚栄心の高いこと――こういう傾向をいつとなしに受けて、芳子は明治の女学生の長所と短所
とを遺憾なく備えていた。 尠くとも時雄の孤独なる生活はこれによって破られた。昔の恋人――今の細君。
曽ては恋人には相違なかったが、今は時勢が移り変った。四五年来の女子教育の勃興、女子大学の設立、庇髪
、海老茶袴、男と並んで歩くのをはにかむようなものは一人も無くなった。この世の中に、旧式の丸髷、泥鴨
のような歩き振、温順と貞節とより他に何物をも有せぬ細君に甘んじていることは時雄には何よりも情けなか
った。路を行けば、美しい今様の細君を連れての睦じい散歩、友を訪えば夫の席に出て流暢に会話を賑かす若
い細君、ましてその身が骨を折って書いた小説を読もうでもなく、夫の苦悶煩悶には全く風馬牛で、子供さえ
満足に育てれば好いという自分の細君に対すると、どうしても孤独を叫ばざるを得なかった。「寂しき人々」
のヨハンネスと共に、家妻というものの無意味を感ぜずにはいられなかった。これが――この孤独が芳子に由
って破られた。ハイカラな新式な美しい女門下生が、先生! 先生! と世にも豪い人のように渇仰して来る
のに胸を動かさずに誰がおられようか。 最初の一月ほどは時雄の家に仮寓していた。華やかな声、艶やかな
姿、今までの孤独な淋しいかれの生活に、何等の対照! 産褥から出たばかりの細君を助けて、靴下を編む、
襟巻を編む、着物を縫う、子供を遊ばせるという生々した態度、時雄は新婚当座に再び帰ったような気がして
、家門近く来るとそそるように胸が動いた。門をあけると、玄関にはその美しい笑顔、色彩に富んだ姿、夜も
今までは子供と共に細君がいぎたなく眠って了って、六畳の室に徒に明らかな洋燈も、却って侘しさを増すの
Slot >>596
🌸🎰💰
🎰🌸💣
🎴🎴👻
(LA: 2.74, 2.60, 2.50)
話さ、まだ居るのかね」「今夜の六時の急行で帰ります」「それじゃ送って行かなくってはいけないじゃない
か」「いいえ、もう好いんですの」 これで話は途絶えて、二人は黙って歩いた。 矢来町の時雄の宅、今ま
で物置にしておいた二階の三畳と六畳、これを綺麗に掃除して、芳子の住居とした。久しく物置――子供の遊
び場にしておいたので、塵埃が山のように積っていたが、箒をかけ雑巾をかけ、雨のしみの附いた破れた障子
を貼り更えると、こうも変るものかと思われるほど明るくなって、裏の酒井の墓塋の大樹の繁茂が心地よき空
翠をその一室に漲らした。隣家の葡萄棚、打捨てて手を入れようともせぬ庭の雑草の中に美人草の美しく交っ
て咲いているのも今更に目につく。時雄はさる画家の描いた朝顔の幅を選んで床に懸け、懸花瓶には後れ咲の
薔薇の花を※(「插」のつくりの縦棒が下に突き抜ける、第4水準2-13-28)した。午頃に荷物が着い
て、大きな支那鞄、柳行李、信玄袋、本箱、机、夜具、これを二階に運ぶのには中々骨が折れる。時雄はこの
手伝いに一日社を休むべく余儀なくされたのである。 机を南の窓の下、本箱をその左に、上に鏡やら紅皿や
ら罎やらを順序よく並べた。押入の一方には支那鞄、柳行李、更紗の蒲団夜具の一組を他の一方に入れようと
した時、女の移香が鼻を撲ったので、時雄は変な気になった。 午後二時頃には一室が一先ず整頓した。「ど
うです、此処も居心は悪くないでしょう」時雄は得意そうに笑って、「此処に居て、まア緩くり勉強するです
。本当に実際問題に触れてつまらなく苦労したって為方がないですからねえ」「え……」と芳子は頭を垂れた
。「後で詳しく聞きましょうが、今の中は二人共じっとして勉強していなくては、為方がないですからね」「
え……」と言って、芳子は顔を挙げて、「それで先生、私達もそう思って、今はお互に勉強して、将来に希望
を持って、親の許諾をも得たいと存じておりますの!」「それが好いです。今、余り騒ぐと、人にも親にも誤
解されて了って、折角の真面目な希望も遂げられなくなりますから」「ですから、ね、先生、私は一心になっ
18c482a1c4
うことの味をも知って、人間の卑しいことを隠して美しいことを標榜するという群の仲間となった。母の膝下
が恋しいとか、故郷が懐かしいとか言うことは、来た当座こそ切実に辛く感じもしたが、やがては全く忘れて
、女学生の寄宿生活をこの上なく面白く思うようになった。旨味い南瓜を食べさせないと云っては、お鉢の飯
に醤油を懸けて賄方を酷めたり、舎監のひねくれた老婦の顔色を見て、陰陽に物を言ったりする女学生の群の
中に入っていては、家庭に養われた少女のように、単純に物を見ることがどうして出来よう。美しいこと、理
想を養うこと、虚栄心の高いこと――こういう傾向をいつとなしに受けて、芳子は明治の女学生の長所と短所
とを遺憾なく備えていた。 尠くとも時雄の孤独なる生活はこれによって破られた。昔の恋人――今の細君。
曽ては恋人には相違なかったが、今は時勢が移り変った。四五年来の女子教育の勃興、女子大学の設立、庇髪
、海老茶袴、男と並んで歩くのをはにかむようなものは一人も無くなった。この世の中に、旧式の丸髷、泥鴨
のような歩き振、温順と貞節とより他に何物をも有せぬ細君に甘んじていることは時雄には何よりも情けなか
った。路を行けば、美しい今様の細君を連れての睦じい散歩、友を訪えば夫の席に出て流暢に会話を賑かす若
い細君、ましてその身が骨を折って書いた小説を読もうでもなく、夫の苦悶煩悶には全く風馬牛で、子供さえ
満足に育てれば好いという自分の細君に対すると、どうしても孤独を叫ばざるを得なかった。「寂しき人々」
のヨハンネスと共に、家妻というものの無意味を感ぜずにはいられなかった。これが――この孤独が芳子に由
って破られた。ハイカラな新式な美しい女門下生が、先生! 先生! と世にも豪い人のように渇仰して来る
のに胸を動かさずに誰がおられようか。 最初の一月ほどは時雄の家に仮寓していた。華やかな声、艶やかな
姿、今までの孤独な淋しいかれの生活に、何等の対照! 産褥から出たばかりの細君を助けて、靴下を編む、
襟巻を編む、着物を縫う、子供を遊ばせるという生々した態度、時雄は新婚当座に再び帰ったような気がして
、家門近く来るとそそるように胸が動いた。門をあけると、玄関にはその美しい笑顔、色彩に富んだ姿、夜も
今までは子供と共に細君がいぎたなく眠って了って、六畳の室に徒に明らかな洋燈も、却って侘しさを増すの
Slot >>596
🌸🎰💰
🎰🌸💣
🎴🎴👻
(LA: 2.74, 2.60, 2.50)
2019/01/12(土) 13:20:35.93
お静はJKじゃい!
347名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:20:39.53 」 時雄は顔を曇らせた。 夕飯を食っていると、裏口から芳子が帰って来た。急いで走って来たと覚しく、
せいせい息を切っている。「何処まで行らしった?」 と細君が問うと、「神楽坂まで」と答えたが、いつも
する「おかえりなさいまし」を時雄に向って言って、そのままばたばたと二階へ上った。すぐ下りて来るかと
思うに、なかなか下りて来ない。「芳子さん、芳子さん」と三度ほど細君が呼ぶと、「はアーい」という長い
返事が聞えて、矢張下りて来ない。お鶴が迎いに行って漸く二階を下りて来たが、準備した夕飯の膳を他所に
、柱に近く、斜に坐った。「御飯は?」「もう食べたくないの、腹が一杯で」「余りおさつを召上った故でし
ょう」「あら、まア、酷い奥さん。いいわ、奥さん」 と睨む真似をする。 細君は笑って、「芳子さん、何
だか変ね」「何故?」と長く引張る。「何故も無いわ」「いいことよ、奥さん」 と又睨んだ。 時雄は黙っ
てこの嬌態に対していた。胸の騒ぐのは無論である。不快の情はひしと押し寄せて来た。芳子はちらと時雄の
顔を覗ったが、その不機嫌なのが一目で解った。で、すぐ態度を改めて、「先生、今日田中が参りましてね」
「そうだってね」「お目にかかってお礼を申上げなければならんのですけれども、又改めて上がりますからッ
て……よろしく申上げて……」「そうか」 と言ったが、そのままふいと立って書斎に入って了った。 その
恋人が東京に居ては、仮令自分が芳子をその二階に置いて監督しても、時雄は心を安んずる暇はなかった。二
人の相逢うことを妨げることは絶対に不可能である。手紙は無論差留めることは出来ぬし、「今日ちょっと田
中に寄って参りますから、一時間遅くなります」と公然と断って行くのをどうこう言う訳には行かなかった。
またその男が訪問して来るのを非常に不快に思うけれど、今更それを謝絶することも出来なかった。時雄はい
つの間にか、この二人からその恋に対しての「温情の保護者」として認められて了った。 時雄は常に苛々し
ていた。書かなければならぬ原稿が幾種もある。書肆からも催促される。金も欲しい。けれどどうしても筆を
執って文を綴るような沈着いた心の状態にはなれなかった。強いて試みてみることがあっても、考が纒らない
57d6b98865
酒を呷った。酒でなければこの鬱を遣るに堪えぬといわぬばかりに。三本目に、妻は心配して、「この頃はど
うか為ましたね」「何故?」「酔ってばかりいるじゃありませんか」「酔うということがどうかしたのか」「
そうでしょう、何か気に懸ることがあるからでしょう。芳子さんのことなどはどうでも好いじゃありませんか
」「馬鹿!」 と時雄は一喝した。 細君はそれにも懲りずに、「だって、余り飲んでは毒ですよ、もう好い
加減になさい、また手水場にでも入って寝ると、貴郎は大きいから、私と、お鶴(下女)の手ぐらいではどう
にもなりやしませんからさ」「まア、好いからもう一本」 で、もう一本を半分位飲んだ。もう酔は余程廻っ
たらしい。顔の色は赤銅色に染って眼が少しく据っていた。急に立上って、「おい、帯を出せ!」「何処へい
らっしゃる」「三番町まで行って来る」「姉の処?」「うむ」「およしなさいよ、危ないから」「何アに大丈
夫だ、人の娘を預って監督せずに投遣にしてはおかれん。男がこの東京に来て一緒に歩いたり何かしているの
を見ぬ振をしてはおかれん。田川(姉の家の姓)に預けておいても不安心だから、今日、行って、早かったら
、芳子を家に連れて来る。二階を掃除しておけ」「家に置くんですか、また……」「勿論」 細君は容易に帯
と着物とを出そうともせぬので、「よし、よし、着物を出さんのなら、これで好い」と、白地の単衣に唐縮緬
の汚れたへこ帯、帽子も被らずに、そのままに急いで戸外へ出た。「今出しますから……本当に困って了う」
という細君の声が後に聞えた。 夏の日はもう暮れ懸っていた。矢来の酒井の森には烏の声が喧しく聞える。
どの家でも夕飯が済んで、門口に若い娘の白い顔も見える。ボールを投げている少年もある。官吏らしい鰌髭
の紳士が庇髪の若い細君を伴れて、神楽坂に散歩に出懸けるのにも幾組か邂逅した。時雄は激昂した心と泥酔
した身体とに烈しく漂わされて、四辺に見ゆるものが皆な別の世界のもののように思われた。両側の家も動く
よう、地も脚の下に陥るよう、天も頭の上に蔽い冠さるように感じた。元からさ程強い酒量でないのに、無闇
にぐいぐいと呷ったので、一時に酔が発したのであろう。ふと露西亜の賤民の酒に酔って路傍に倒れて寝てい
るのを思い出した。そしてある友人と露西亜の人間はこれだから豪い、惑溺するなら飽まで惑溺せんければ駄
Slot >>870
💣🎴🎰
🎰🎰😜
🌸😜👻
(LA: 2.44, 2.55, 2.48)
せいせい息を切っている。「何処まで行らしった?」 と細君が問うと、「神楽坂まで」と答えたが、いつも
する「おかえりなさいまし」を時雄に向って言って、そのままばたばたと二階へ上った。すぐ下りて来るかと
思うに、なかなか下りて来ない。「芳子さん、芳子さん」と三度ほど細君が呼ぶと、「はアーい」という長い
返事が聞えて、矢張下りて来ない。お鶴が迎いに行って漸く二階を下りて来たが、準備した夕飯の膳を他所に
、柱に近く、斜に坐った。「御飯は?」「もう食べたくないの、腹が一杯で」「余りおさつを召上った故でし
ょう」「あら、まア、酷い奥さん。いいわ、奥さん」 と睨む真似をする。 細君は笑って、「芳子さん、何
だか変ね」「何故?」と長く引張る。「何故も無いわ」「いいことよ、奥さん」 と又睨んだ。 時雄は黙っ
てこの嬌態に対していた。胸の騒ぐのは無論である。不快の情はひしと押し寄せて来た。芳子はちらと時雄の
顔を覗ったが、その不機嫌なのが一目で解った。で、すぐ態度を改めて、「先生、今日田中が参りましてね」
「そうだってね」「お目にかかってお礼を申上げなければならんのですけれども、又改めて上がりますからッ
て……よろしく申上げて……」「そうか」 と言ったが、そのままふいと立って書斎に入って了った。 その
恋人が東京に居ては、仮令自分が芳子をその二階に置いて監督しても、時雄は心を安んずる暇はなかった。二
人の相逢うことを妨げることは絶対に不可能である。手紙は無論差留めることは出来ぬし、「今日ちょっと田
中に寄って参りますから、一時間遅くなります」と公然と断って行くのをどうこう言う訳には行かなかった。
またその男が訪問して来るのを非常に不快に思うけれど、今更それを謝絶することも出来なかった。時雄はい
つの間にか、この二人からその恋に対しての「温情の保護者」として認められて了った。 時雄は常に苛々し
ていた。書かなければならぬ原稿が幾種もある。書肆からも催促される。金も欲しい。けれどどうしても筆を
執って文を綴るような沈着いた心の状態にはなれなかった。強いて試みてみることがあっても、考が纒らない
57d6b98865
酒を呷った。酒でなければこの鬱を遣るに堪えぬといわぬばかりに。三本目に、妻は心配して、「この頃はど
うか為ましたね」「何故?」「酔ってばかりいるじゃありませんか」「酔うということがどうかしたのか」「
そうでしょう、何か気に懸ることがあるからでしょう。芳子さんのことなどはどうでも好いじゃありませんか
」「馬鹿!」 と時雄は一喝した。 細君はそれにも懲りずに、「だって、余り飲んでは毒ですよ、もう好い
加減になさい、また手水場にでも入って寝ると、貴郎は大きいから、私と、お鶴(下女)の手ぐらいではどう
にもなりやしませんからさ」「まア、好いからもう一本」 で、もう一本を半分位飲んだ。もう酔は余程廻っ
たらしい。顔の色は赤銅色に染って眼が少しく据っていた。急に立上って、「おい、帯を出せ!」「何処へい
らっしゃる」「三番町まで行って来る」「姉の処?」「うむ」「およしなさいよ、危ないから」「何アに大丈
夫だ、人の娘を預って監督せずに投遣にしてはおかれん。男がこの東京に来て一緒に歩いたり何かしているの
を見ぬ振をしてはおかれん。田川(姉の家の姓)に預けておいても不安心だから、今日、行って、早かったら
、芳子を家に連れて来る。二階を掃除しておけ」「家に置くんですか、また……」「勿論」 細君は容易に帯
と着物とを出そうともせぬので、「よし、よし、着物を出さんのなら、これで好い」と、白地の単衣に唐縮緬
の汚れたへこ帯、帽子も被らずに、そのままに急いで戸外へ出た。「今出しますから……本当に困って了う」
という細君の声が後に聞えた。 夏の日はもう暮れ懸っていた。矢来の酒井の森には烏の声が喧しく聞える。
どの家でも夕飯が済んで、門口に若い娘の白い顔も見える。ボールを投げている少年もある。官吏らしい鰌髭
の紳士が庇髪の若い細君を伴れて、神楽坂に散歩に出懸けるのにも幾組か邂逅した。時雄は激昂した心と泥酔
した身体とに烈しく漂わされて、四辺に見ゆるものが皆な別の世界のもののように思われた。両側の家も動く
よう、地も脚の下に陥るよう、天も頭の上に蔽い冠さるように感じた。元からさ程強い酒量でないのに、無闇
にぐいぐいと呷ったので、一時に酔が発したのであろう。ふと露西亜の賤民の酒に酔って路傍に倒れて寝てい
るのを思い出した。そしてある友人と露西亜の人間はこれだから豪い、惑溺するなら飽まで惑溺せんければ駄
Slot >>870
💣🎴🎰
🎰🎰😜
🌸😜👻
(LA: 2.44, 2.55, 2.48)
2019/01/12(土) 13:20:48.09
>>336
ピリッとも使ってたぞ
ピリッとも使ってたぞ
349名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:20:55.69 ですがね」「そう、それは好いですよ。本当に芳子さんはああいうしっかり者だから、私みたいな無教育のも
のでは……」「いや、そういう訳でも無いですがね。余り自由にさせ過ぎても、却って当人の為にならんです
から、一つ家に置いて、十分監督してみようと思うんです」「それが好いですよ。本当に、芳子さんにもね…
…何処と悪いことのない、発明な、利口な、今の世には珍らしい方ですけれど、一つ悪いことがあってね、男
の友達と平気で夜歩いたりなんかするんですからね。それさえ止すと好いんだけれどとよく言うのですの。す
ると芳子さんはまた小母さんの旧弊が始まったって、笑っているんだもの。いつかなぞも余り男と一緒に歩い
たり何かするものだから、角の交番でね、不審にしてね、角袖巡査が家の前に立っていたことがあったと云い
ますよ。それはそんなことは無いんだから、構いはしませんけどもね……」「それはいつのことです?」「昨
年の暮でしたかね」「どうもハイカラ過ぎて困る」と時雄は言ったが、時計の針の既に十時半の処を指すのを
見て、「それにしてもどうしたんだろう。若い身空で、こう遅くまで一人で出て歩くと言うのは?」「もう帰
って来ますよ」「こんなことは幾度もあるんですか」「いいえ、滅多にありはしませんよ。夏の夜だから、ま
だ宵の口位に思って歩いているんですよ」 姉は話しながら裁縫の針を止めぬのである。前に鴨脚の大きい裁
物板が据えられて、彩絹の裁片や糸や鋏やが順序なく四面に乱れている。女物の美しい色に、洋燈の光が明か
に照り渡った。九月中旬の夜は更けて、稍々肌寒く、裏の土手下を甲武の貨物汽車がすさまじい地響を立てて
通る。 下駄の音がする度に、今度こそは! 今度こそは! と待渡ったが、十一時が打って間もなく、小き
ざみな、軽い後歯の音が静かな夜を遠く響いて来た。「今度のこそ、芳子さんですよ」 と姉は言った。 果
してその足音が家の入口の前に留って、がらがらと格子が開く。「芳子さん?」「ええ」 と艶やかな声がす
る。 玄関から丈の高い庇髪の美しい姿がすっと入って来たが、「あら、まア、先生!」 と声を立てた。そ
の声には驚愕と当惑の調子が十分に籠っていた。「大変遅くなって……」と言って、座敷と居間との間の閾の
c964d0d9b5
細君の顔を見て、飯を食って眠るという単調なる生活につくづく倦き果てて了った。家を引越歩いても面白く
ない、友人と語り合っても面白くない、外国小説を読み渉猟っても満足が出来ぬ。いや、庭樹の繁り、雨の点
滴、花の開落などいう自然の状態さえ、平凡なる生活をして更に平凡ならしめるような気がして、身を置くに
処は無いほど淋しかった。道を歩いて常に見る若い美しい女、出来るならば新しい恋を為たいと痛切に思った
。 三十四五、実際この頃には誰にでもある煩悶で、この年頃に賤しい女に戯るるものの多いのも、畢竟その
淋しさを医す為めである。世間に妻を離縁するものもこの年頃に多い。 出勤する途上に、毎朝邂逅う美しい
女教師があった。渠はその頃この女に逢うのをその日その日の唯一の楽みとして、その女に就いていろいろな
空想を逞うした。恋が成立って、神楽坂あたりの小待合に連れて行って、人目を忍んで楽しんだらどう……。
細君に知れずに、二人近郊を散歩したらどう……。いや、それどころではない、その時、細君が懐妊しておっ
たから、不図難産して死ぬ、その後にその女を入れるとしてどうであろう。……平気で後妻に入れることが出
来るだろうかどうかなどと考えて歩いた。 神戸の女学院の生徒で、生れは備中の新見町で、渠の著作の崇拝
者で、名を横山芳子という女から崇拝の情を以て充された一通の手紙を受取ったのはその頃であった。竹中古
城と謂えば、美文的小説を書いて、多少世間に聞えておったので、地方から来る崇拝者渇仰者の手紙はこれま
でにも随分多かった。やれ文章を直してくれの、弟子にしてくれのと一々取合ってはいられなかった。だから
その女の手紙を受取っても、別に返事を出そうとまでその好奇心は募らなかった。けれど同じ人の熱心なる手
紙を三通まで貰っては、さすがの時雄も注意をせずにはいられなかった。年は十九だそうだが、手紙の文句か
ら推して、その表情の巧みなのは驚くべきほどで、いかなることがあっても先生の門下生になって、一生文学
に従事したいとの切なる願望。文字は走り書のすらすらした字で、余程ハイカラの女らしい。返事を書いたの
は、例の工場の二階の室で、その日は毎日の課業の地理を二枚書いて止して、長い数尺に余る手紙を芳子に送
った。その手紙には女の身として文学に携わることの不心得、女は生理的に母たるの義務を尽さなければなら
Slot >>526
😜🌸😜
🌸🎴👻
🎰💰💣
(LA: 2.48, 2.55, 2.48)
のでは……」「いや、そういう訳でも無いですがね。余り自由にさせ過ぎても、却って当人の為にならんです
から、一つ家に置いて、十分監督してみようと思うんです」「それが好いですよ。本当に、芳子さんにもね…
…何処と悪いことのない、発明な、利口な、今の世には珍らしい方ですけれど、一つ悪いことがあってね、男
の友達と平気で夜歩いたりなんかするんですからね。それさえ止すと好いんだけれどとよく言うのですの。す
ると芳子さんはまた小母さんの旧弊が始まったって、笑っているんだもの。いつかなぞも余り男と一緒に歩い
たり何かするものだから、角の交番でね、不審にしてね、角袖巡査が家の前に立っていたことがあったと云い
ますよ。それはそんなことは無いんだから、構いはしませんけどもね……」「それはいつのことです?」「昨
年の暮でしたかね」「どうもハイカラ過ぎて困る」と時雄は言ったが、時計の針の既に十時半の処を指すのを
見て、「それにしてもどうしたんだろう。若い身空で、こう遅くまで一人で出て歩くと言うのは?」「もう帰
って来ますよ」「こんなことは幾度もあるんですか」「いいえ、滅多にありはしませんよ。夏の夜だから、ま
だ宵の口位に思って歩いているんですよ」 姉は話しながら裁縫の針を止めぬのである。前に鴨脚の大きい裁
物板が据えられて、彩絹の裁片や糸や鋏やが順序なく四面に乱れている。女物の美しい色に、洋燈の光が明か
に照り渡った。九月中旬の夜は更けて、稍々肌寒く、裏の土手下を甲武の貨物汽車がすさまじい地響を立てて
通る。 下駄の音がする度に、今度こそは! 今度こそは! と待渡ったが、十一時が打って間もなく、小き
ざみな、軽い後歯の音が静かな夜を遠く響いて来た。「今度のこそ、芳子さんですよ」 と姉は言った。 果
してその足音が家の入口の前に留って、がらがらと格子が開く。「芳子さん?」「ええ」 と艶やかな声がす
る。 玄関から丈の高い庇髪の美しい姿がすっと入って来たが、「あら、まア、先生!」 と声を立てた。そ
の声には驚愕と当惑の調子が十分に籠っていた。「大変遅くなって……」と言って、座敷と居間との間の閾の
c964d0d9b5
細君の顔を見て、飯を食って眠るという単調なる生活につくづく倦き果てて了った。家を引越歩いても面白く
ない、友人と語り合っても面白くない、外国小説を読み渉猟っても満足が出来ぬ。いや、庭樹の繁り、雨の点
滴、花の開落などいう自然の状態さえ、平凡なる生活をして更に平凡ならしめるような気がして、身を置くに
処は無いほど淋しかった。道を歩いて常に見る若い美しい女、出来るならば新しい恋を為たいと痛切に思った
。 三十四五、実際この頃には誰にでもある煩悶で、この年頃に賤しい女に戯るるものの多いのも、畢竟その
淋しさを医す為めである。世間に妻を離縁するものもこの年頃に多い。 出勤する途上に、毎朝邂逅う美しい
女教師があった。渠はその頃この女に逢うのをその日その日の唯一の楽みとして、その女に就いていろいろな
空想を逞うした。恋が成立って、神楽坂あたりの小待合に連れて行って、人目を忍んで楽しんだらどう……。
細君に知れずに、二人近郊を散歩したらどう……。いや、それどころではない、その時、細君が懐妊しておっ
たから、不図難産して死ぬ、その後にその女を入れるとしてどうであろう。……平気で後妻に入れることが出
来るだろうかどうかなどと考えて歩いた。 神戸の女学院の生徒で、生れは備中の新見町で、渠の著作の崇拝
者で、名を横山芳子という女から崇拝の情を以て充された一通の手紙を受取ったのはその頃であった。竹中古
城と謂えば、美文的小説を書いて、多少世間に聞えておったので、地方から来る崇拝者渇仰者の手紙はこれま
でにも随分多かった。やれ文章を直してくれの、弟子にしてくれのと一々取合ってはいられなかった。だから
その女の手紙を受取っても、別に返事を出そうとまでその好奇心は募らなかった。けれど同じ人の熱心なる手
紙を三通まで貰っては、さすがの時雄も注意をせずにはいられなかった。年は十九だそうだが、手紙の文句か
ら推して、その表情の巧みなのは驚くべきほどで、いかなることがあっても先生の門下生になって、一生文学
に従事したいとの切なる願望。文字は走り書のすらすらした字で、余程ハイカラの女らしい。返事を書いたの
は、例の工場の二階の室で、その日は毎日の課業の地理を二枚書いて止して、長い数尺に余る手紙を芳子に送
った。その手紙には女の身として文学に携わることの不心得、女は生理的に母たるの義務を尽さなければなら
Slot >>526
😜🌸😜
🌸🎴👻
🎰💰💣
(LA: 2.48, 2.55, 2.48)
2019/01/12(土) 13:21:11.84
351名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:21:11.87 の為めに行われたる恋でないことを言い、父母の中一人、是非出京してこの問題を解決して貰いたいと言い送
った。けれど故郷の父母は、監督なる時雄がそういう主張であるのと、到底その口から許可することが出来ぬ
のとで、上京しても無駄であると云って出て来なかった。 時雄は今、芳子の手紙に対して考えた。 二人の
状態は最早一刻も猶予すべからざるものとなっている。時雄の監督を離れて二人一緒に暮したいという大胆な
言葉、その言葉の中には警戒すべき分子の多いのを思った。いや、既に一歩を進めているかも知れぬと思った
。又一面にはこれほどその為めに尽力しているのに、その好意を無にして、こういう決心をするとは義理知ら
ず、情知らず、勝手にするが好いとまで激した。 時雄は胸の轟きを静める為め、月朧なる利根川の堤の上を
散歩した。月が暈を帯びた夜は冬ながらやや暖かく、土手下の家々の窓には平和な燈火が静かに輝いていた。
川の上には薄い靄が懸って、おりおり通る船の艫の音がギイと聞える。下流でおーいと渡しを呼ぶものがある
。舟橋を渡る車の音がとどろに響いてそして又一時静かになる。時雄は土手を歩きながら種々のことを考えた
。芳子のことよりは一層痛切に自己の家庭のさびしさということが胸を往来した。三十五六歳の男女の最も味
うべき生活の苦痛、事業に対する煩悩、性慾より起る不満足等が凄じい力でその胸を圧迫した。芳子はかれの
為めに平凡なる生活の花でもあり又糧でもあった。芳子の美しい力に由って、荒野の如き胸に花咲き、錆び果
てた鐘は再び鳴ろうとした。芳子の為めに、復活の活気は新しく鼓吹された。であるのに再び寂寞荒涼たる以
前の平凡なる生活にかえらなければならぬとは……。不平よりも、嫉妬よりも、熱い熱い涙がかれの頬を伝っ
た。 かれは真面目に芳子の恋とその一生とを考えた。二人同棲して後の倦怠、疲労、冷酷を自己の経験に照
らしてみた。そして一たび男子に身を任せて後の女子の境遇の憐むべきを思い遣った。自然の最奥に秘める暗
黒なる力に対する厭世の情は今彼の胸を簇々として襲った。 真面目なる解決を施さなければならぬという気
になった。今までの自分の行為の甚だ不自然で不真面目であるのに思いついた。時雄はその夜、備中の山中に
b9f4bb6808
後に、父たる貴下と師たる小生と当事者たる二人と相対して、此の問題を真面目に議すべき時節到来せりと存
候、貴下は父としての主張あるべく、芳子は芳子としての自由あるべく、小生また師としての意見有之候、御
多忙の際には有之候えども、是非々々御出京下され度、幾重にも希望仕候。 と書いて筆を結んだ。封筒に収
めて備中国新見町横山兵蔵様と書いて、傍に置いて、じ
小石川の切支丹坂から極楽水に出る道のだらだら坂を下りようとして渠は考えた。「これで自分と彼女との関
係は一段落を告げた。三十六にもなって、子供も三人あって、あんなことを考えたかと思うと、馬鹿々々しく
なる。けれど……けれど……本当にこれが事実だろうか。あれだけの愛情を自身に注いだのは単に愛情として
のみで、恋ではなかったろうか」 数多い感情ずくめの手紙――二人の関係はどうしても尋常ではなかった。
妻があり、子があり、世間があり、師弟の関係があればこそ敢て烈しい恋に落ちなかったが、語り合う胸の轟
、相見る眼の光、その底には確かに凄じい暴風が潜んでいたのである。機会に遭遇しさえすれば、その底の底
の暴風は忽ち勢を得て、妻子も世間も道徳も師弟の関係も一挙にして破れて了うであろうと思われた。少くと
も男はそう信じていた。それであるのに、二三日来のこの出来事、これから考えると、女は確かにその感情を
偽り売ったのだ。自分を欺いたのだと男は幾度も思った。けれど文学者だけに、この男は自ら自分の心理を客
観するだけの余裕を有っていた。年若い女の心理は容易に判断し得られるものではない、かの温い嬉しい愛情
は、単に女性特有の自然の発展で、美しく見えた眼の表情も、やさしく感じられた態度も都て無意識で、無意
味で、自然の花が見る人に一種の慰藉を与えたようなものかも知れない。一歩を譲って女は自分を愛して恋し
ていたとしても、自分は師、かの女は門弟、自分は妻あり子ある身、かの女は妙齢の美しい花、そこに互に意
識の加わるのを如何ともすることは出来まい。いや、更に一歩を進めて、あの熱烈なる一封の手紙、陰に陽に
その胸の悶を訴えて、丁度自然の力がこの身を圧迫するかのように、最後の情を伝えて来た時、その謎をこの
身が解いて遣らなかった。女性のつつましやかな性として、その上に猶露わに迫って来ることがどうして出来
Slot >>963
💰💰😜
🍒😜👻
😜💣💣
Win!! 12 pts.(LA: 2.60, 2.57, 2.49)
った。けれど故郷の父母は、監督なる時雄がそういう主張であるのと、到底その口から許可することが出来ぬ
のとで、上京しても無駄であると云って出て来なかった。 時雄は今、芳子の手紙に対して考えた。 二人の
状態は最早一刻も猶予すべからざるものとなっている。時雄の監督を離れて二人一緒に暮したいという大胆な
言葉、その言葉の中には警戒すべき分子の多いのを思った。いや、既に一歩を進めているかも知れぬと思った
。又一面にはこれほどその為めに尽力しているのに、その好意を無にして、こういう決心をするとは義理知ら
ず、情知らず、勝手にするが好いとまで激した。 時雄は胸の轟きを静める為め、月朧なる利根川の堤の上を
散歩した。月が暈を帯びた夜は冬ながらやや暖かく、土手下の家々の窓には平和な燈火が静かに輝いていた。
川の上には薄い靄が懸って、おりおり通る船の艫の音がギイと聞える。下流でおーいと渡しを呼ぶものがある
。舟橋を渡る車の音がとどろに響いてそして又一時静かになる。時雄は土手を歩きながら種々のことを考えた
。芳子のことよりは一層痛切に自己の家庭のさびしさということが胸を往来した。三十五六歳の男女の最も味
うべき生活の苦痛、事業に対する煩悩、性慾より起る不満足等が凄じい力でその胸を圧迫した。芳子はかれの
為めに平凡なる生活の花でもあり又糧でもあった。芳子の美しい力に由って、荒野の如き胸に花咲き、錆び果
てた鐘は再び鳴ろうとした。芳子の為めに、復活の活気は新しく鼓吹された。であるのに再び寂寞荒涼たる以
前の平凡なる生活にかえらなければならぬとは……。不平よりも、嫉妬よりも、熱い熱い涙がかれの頬を伝っ
た。 かれは真面目に芳子の恋とその一生とを考えた。二人同棲して後の倦怠、疲労、冷酷を自己の経験に照
らしてみた。そして一たび男子に身を任せて後の女子の境遇の憐むべきを思い遣った。自然の最奥に秘める暗
黒なる力に対する厭世の情は今彼の胸を簇々として襲った。 真面目なる解決を施さなければならぬという気
になった。今までの自分の行為の甚だ不自然で不真面目であるのに思いついた。時雄はその夜、備中の山中に
b9f4bb6808
後に、父たる貴下と師たる小生と当事者たる二人と相対して、此の問題を真面目に議すべき時節到来せりと存
候、貴下は父としての主張あるべく、芳子は芳子としての自由あるべく、小生また師としての意見有之候、御
多忙の際には有之候えども、是非々々御出京下され度、幾重にも希望仕候。 と書いて筆を結んだ。封筒に収
めて備中国新見町横山兵蔵様と書いて、傍に置いて、じ
小石川の切支丹坂から極楽水に出る道のだらだら坂を下りようとして渠は考えた。「これで自分と彼女との関
係は一段落を告げた。三十六にもなって、子供も三人あって、あんなことを考えたかと思うと、馬鹿々々しく
なる。けれど……けれど……本当にこれが事実だろうか。あれだけの愛情を自身に注いだのは単に愛情として
のみで、恋ではなかったろうか」 数多い感情ずくめの手紙――二人の関係はどうしても尋常ではなかった。
妻があり、子があり、世間があり、師弟の関係があればこそ敢て烈しい恋に落ちなかったが、語り合う胸の轟
、相見る眼の光、その底には確かに凄じい暴風が潜んでいたのである。機会に遭遇しさえすれば、その底の底
の暴風は忽ち勢を得て、妻子も世間も道徳も師弟の関係も一挙にして破れて了うであろうと思われた。少くと
も男はそう信じていた。それであるのに、二三日来のこの出来事、これから考えると、女は確かにその感情を
偽り売ったのだ。自分を欺いたのだと男は幾度も思った。けれど文学者だけに、この男は自ら自分の心理を客
観するだけの余裕を有っていた。年若い女の心理は容易に判断し得られるものではない、かの温い嬉しい愛情
は、単に女性特有の自然の発展で、美しく見えた眼の表情も、やさしく感じられた態度も都て無意識で、無意
味で、自然の花が見る人に一種の慰藉を与えたようなものかも知れない。一歩を譲って女は自分を愛して恋し
ていたとしても、自分は師、かの女は門弟、自分は妻あり子ある身、かの女は妙齢の美しい花、そこに互に意
識の加わるのを如何ともすることは出来まい。いや、更に一歩を進めて、あの熱烈なる一封の手紙、陰に陽に
その胸の悶を訴えて、丁度自然の力がこの身を圧迫するかのように、最後の情を伝えて来た時、その謎をこの
身が解いて遣らなかった。女性のつつましやかな性として、その上に猶露わに迫って来ることがどうして出来
Slot >>963
💰💰😜
🍒😜👻
😜💣💣
Win!! 12 pts.(LA: 2.60, 2.57, 2.49)
352名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:21:27.66 キズナアイと吉田のコラボ放送が見てえよぉぉ!
353名無しさん@お腹いっぱい。
2019/01/12(土) 13:21:28.07 たらしい。顔の色は赤銅色に染って眼が少しく据っていた。急に立上って、「おい、帯を出せ!」「何処へい
らっしゃる」「三番町まで行って来る」「姉の処?」「うむ」「およしなさいよ、危ないから」「何アに大丈
夫だ、人の娘を預って監督せずに投遣にしてはおかれん。男がこの東京に来て一緒に歩いたり何かしているの
を見ぬ振をしてはおかれん。田川(姉の家の姓)に預けておいても不安心だから、今日、行って、早かったら
、芳子を家に連れて来る。二階を掃除しておけ」「家に置くんですか、また……」「勿論」 細君は容易に帯
と着物とを出そうともせぬので、「よし、よし、着物を出さんのなら、これで好い」と、白地の単衣に唐縮緬
の汚れたへこ帯、帽子も被らずに、そのままに急いで戸外へ出た。「今出しますから……本当に困って了う」
という細君の声が後に聞えた。 夏の日はもう暮れ懸っていた。矢来の酒井の森には烏の声が喧しく聞える。
どの家でも夕飯が済んで、門口に若い娘の白い顔も見える。ボールを投げている少年もある。官吏らしい鰌髭
の紳士が庇髪の若い細君を伴れて、神楽坂に散歩に出懸けるのにも幾組か邂逅した。時雄は激昂した心と泥酔
した身体とに烈しく漂わされて、四辺に見ゆるものが皆な別の世界のもののように思われた。両側の家も動く
よう、地も脚の下に陥るよう、天も頭の上に蔽い冠さるように感じた。元からさ程強い酒量でないのに、無闇
にぐいぐいと呷ったので、一時に酔が発したのであろう。ふと露西亜の賤民の酒に酔って路傍に倒れて寝てい
るのを思い出した。そしてある友人と露西亜の人間はこれだから豪い、惑溺するなら飽まで惑溺せんければ駄
目だと言ったことを思いだした。馬鹿な! 恋に師弟の別があって堪るものかと口へ出して言った。 中根坂
を上って、士官学校の裏門から佐内坂の上まで来た頃は、日はもうとっぷりと暮れた。白地の浴衣がぞろぞろ
と通る。煙草屋の前に若い細君が出ている。氷屋の暖簾が涼しそうに夕風に靡く。時雄はこの夏の夜景を朧げ
に眼には見ながら、電信柱に突当って倒れそうにしたり、浅い溝に落ちて膝頭をついたり、職工体の男に、「
酔漢奴! しっかり歩け!」と罵られたりした。急に自ら思いついたらしく、坂の上から右に折れて、市ヶ谷
10ebf9d14d
げなければ済まないと申しておりましたけれど……よく申上げてくれッて……」「いや……」 時雄は芳子の
言葉の中に、「私共」と複数を遣うのと、もう公然許嫁の約束でもしたかのように言うのとを不快に思った。
まだ、十九か二十の妙齢の処女が、こうした言葉を口にするのを怪しんだ。時雄は時代の推移ったのを今更の
ように感じた。当世の女学生気質のいかに自分等の恋した時代の処女気質と異っているかを思った。勿論、こ
の女学生気質を時雄は主義の上、趣味の上から喜んで見ていたのは事実である。昔のような教育を受けては、
到底今の明治の男子の妻としては立って行かれぬ。女子も立たねばならぬ、意志の力を十分に養わねばならぬ
とはかれの持論である。この持論をかれは芳子に向っても尠からず鼓吹した。けれどこの新派のハイカラの実
行を見てはさすがに眉を顰めずにはいられなかった。 男からは国府津の消印で帰途に就いたという端書が着
いて翌日三番町の姉の家から届けて来た。居間の二階には芳子が居て、呼べば直ぐ返事をして下りて来る。食
事には三度三度膳を並べて団欒して食う。夜は明るい洋燈を取巻いて、賑わしく面白く語り合う。靴下は編ん
でくれる。美しい笑顔を絶えず見せる。時雄は芳子を全く占領して、とにかく安心もし満足もした。細君も芳
子に恋人があるのを知ってから、危険の念、不安の念を全く去った。 芳子は恋人に別れるのが辛かった。成
ろうことなら一緒に東京に居て、時々顔をも見、言葉をも交えたかった。けれど今の際それは出来難いことを
知っていた。二年、三年、男が同志社を卒業するまでは、たまさかの雁の音信をたよりに、一心不乱に勉強し
なければならぬと思った。で、午後からは、以前の如く麹町の某英学塾に通い、時雄も小石川の社に通った。
時雄は夜などおりおり芳子を自分の書斎に呼んで、文学の話、小説の話、それから恋の話をすることがある
。そして芳子の為めにその将来の注意を与えた。その時の態度は公平で、率直で、同情に富んでいて、決して
泥酔して厠に寝たり、地上に横たわったりした人とは思われない。さればと言って、時雄はわざとそういう態
度にするのではない、女に対っている刹那――その愛した女の歓心を得るには、いかなる犠牲も甚だ高価に過
ぎなかった。 で、芳子は師を信頼した。時期が来て、父母にこの恋を告ぐる時、旧思想と新思想と衝突する
Slot >>434
🌸🍒💣
🎰🍜🌸
🎴🎰👻
(LA: 2.43, 2.54, 2.48)
らっしゃる」「三番町まで行って来る」「姉の処?」「うむ」「およしなさいよ、危ないから」「何アに大丈
夫だ、人の娘を預って監督せずに投遣にしてはおかれん。男がこの東京に来て一緒に歩いたり何かしているの
を見ぬ振をしてはおかれん。田川(姉の家の姓)に預けておいても不安心だから、今日、行って、早かったら
、芳子を家に連れて来る。二階を掃除しておけ」「家に置くんですか、また……」「勿論」 細君は容易に帯
と着物とを出そうともせぬので、「よし、よし、着物を出さんのなら、これで好い」と、白地の単衣に唐縮緬
の汚れたへこ帯、帽子も被らずに、そのままに急いで戸外へ出た。「今出しますから……本当に困って了う」
という細君の声が後に聞えた。 夏の日はもう暮れ懸っていた。矢来の酒井の森には烏の声が喧しく聞える。
どの家でも夕飯が済んで、門口に若い娘の白い顔も見える。ボールを投げている少年もある。官吏らしい鰌髭
の紳士が庇髪の若い細君を伴れて、神楽坂に散歩に出懸けるのにも幾組か邂逅した。時雄は激昂した心と泥酔
した身体とに烈しく漂わされて、四辺に見ゆるものが皆な別の世界のもののように思われた。両側の家も動く
よう、地も脚の下に陥るよう、天も頭の上に蔽い冠さるように感じた。元からさ程強い酒量でないのに、無闇
にぐいぐいと呷ったので、一時に酔が発したのであろう。ふと露西亜の賤民の酒に酔って路傍に倒れて寝てい
るのを思い出した。そしてある友人と露西亜の人間はこれだから豪い、惑溺するなら飽まで惑溺せんければ駄
目だと言ったことを思いだした。馬鹿な! 恋に師弟の別があって堪るものかと口へ出して言った。 中根坂
を上って、士官学校の裏門から佐内坂の上まで来た頃は、日はもうとっぷりと暮れた。白地の浴衣がぞろぞろ
と通る。煙草屋の前に若い細君が出ている。氷屋の暖簾が涼しそうに夕風に靡く。時雄はこの夏の夜景を朧げ
に眼には見ながら、電信柱に突当って倒れそうにしたり、浅い溝に落ちて膝頭をついたり、職工体の男に、「
酔漢奴! しっかり歩け!」と罵られたりした。急に自ら思いついたらしく、坂の上から右に折れて、市ヶ谷
10ebf9d14d
げなければ済まないと申しておりましたけれど……よく申上げてくれッて……」「いや……」 時雄は芳子の
言葉の中に、「私共」と複数を遣うのと、もう公然許嫁の約束でもしたかのように言うのとを不快に思った。
まだ、十九か二十の妙齢の処女が、こうした言葉を口にするのを怪しんだ。時雄は時代の推移ったのを今更の
ように感じた。当世の女学生気質のいかに自分等の恋した時代の処女気質と異っているかを思った。勿論、こ
の女学生気質を時雄は主義の上、趣味の上から喜んで見ていたのは事実である。昔のような教育を受けては、
到底今の明治の男子の妻としては立って行かれぬ。女子も立たねばならぬ、意志の力を十分に養わねばならぬ
とはかれの持論である。この持論をかれは芳子に向っても尠からず鼓吹した。けれどこの新派のハイカラの実
行を見てはさすがに眉を顰めずにはいられなかった。 男からは国府津の消印で帰途に就いたという端書が着
いて翌日三番町の姉の家から届けて来た。居間の二階には芳子が居て、呼べば直ぐ返事をして下りて来る。食
事には三度三度膳を並べて団欒して食う。夜は明るい洋燈を取巻いて、賑わしく面白く語り合う。靴下は編ん
でくれる。美しい笑顔を絶えず見せる。時雄は芳子を全く占領して、とにかく安心もし満足もした。細君も芳
子に恋人があるのを知ってから、危険の念、不安の念を全く去った。 芳子は恋人に別れるのが辛かった。成
ろうことなら一緒に東京に居て、時々顔をも見、言葉をも交えたかった。けれど今の際それは出来難いことを
知っていた。二年、三年、男が同志社を卒業するまでは、たまさかの雁の音信をたよりに、一心不乱に勉強し
なければならぬと思った。で、午後からは、以前の如く麹町の某英学塾に通い、時雄も小石川の社に通った。
時雄は夜などおりおり芳子を自分の書斎に呼んで、文学の話、小説の話、それから恋の話をすることがある
。そして芳子の為めにその将来の注意を与えた。その時の態度は公平で、率直で、同情に富んでいて、決して
泥酔して厠に寝たり、地上に横たわったりした人とは思われない。さればと言って、時雄はわざとそういう態
度にするのではない、女に対っている刹那――その愛した女の歓心を得るには、いかなる犠牲も甚だ高価に過
ぎなかった。 で、芳子は師を信頼した。時期が来て、父母にこの恋を告ぐる時、旧思想と新思想と衝突する
Slot >>434
🌸🍒💣
🎰🍜🌸
🎴🎰👻
(LA: 2.43, 2.54, 2.48)
2019/01/12(土) 13:21:28.59
もうきたのか
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
ニュース
- ベネズエラ情勢、高市首相「情勢安定化に外交努力」 Xに投稿 [少考さん★]
- 【速報】強盗疑いで17歳少年3人を逮捕 静岡・長泉、1千万円被害 [煮卵★]
- 【北九州】「母から父がやられている」40歳女 28歳夫にハサミを突きつけ「いつでも殺せるけんな」と脅迫か 20代娘が通報し現行犯逮捕 [煮卵★]
- 女優の新谷姫加「人の写真を勝手に裸にしたりするの気持ち悪すぎる」「絶対にやめて」AI使った画像加工に怒り [muffin★]
- ベネズエラ大統領拘束、米当事者らが明かす作戦の内幕 [少考さん★]
- 【円安】屈辱の「1ドル=250円」時代がやってくる…食料もガソリンも買えなくなる「弱い通貨」の"真っ暗な未来" ★6 [ぐれ★]
- 【NJPW】新日本プロレスワールド part.2445
- 【NJPW】新日本プロレスワールド part.2446
- 【テレ朝ch2】新日本プロレス 実況 Part291
- 【テレ朝ch2】新日本プロレス 実況 Part290
- 【NJPW】新日本プロレスワールド part.2447
- 京都競馬 1回1日目 2 第64回京都金杯
- 本田圭佑さん「南京事件はなかったと信じてる」「批判されてAIに聞いたらあったわ」「でも結論付けるの難しいわ」ネトウヨも驚き [943688309]
- ほんこん「ロシアの行動でウクライナ国民は喜んだんか?ベネズエラ国民はアメリカの行動で喜んでるように見えるぞ?」 [834922174]
- 【高市速報】自民党・小野寺五典元防衛大臣「力による現状変更そのもの。中国やロシアを批判する論拠に矛盾する」 激おこ アメリカを批判 [485983549]
- 何で東京って入場税取らんの?
- 【動画】日本人のご夫婦、トイレを貸してくれないローソンにブチギレてレジでおしりを出してしまう 外国人店員「逮捕お願いしまーす」 [668024367]
- 【実況】博衣こよりのえちえち桃鉄100年8枠目🧪
