ある日を境に、ピノ様の配信の声が変わった。
私は悟った。もう「あの」ピノ様はいないのだと。
近頃の配信では声が日に日に弱々しくなり、
一方で時折する咳は声と反比例して激しくなっていた。
画面の中のピノ様は、いつもとは違う声で、
それでもいつも通りのピノ様として振る舞おうと努力していた。
「カラスジャガイモ」というコメントが流れる。
「カラスジャガイモではありません! ヘラクレスエクト・・・エクア・・・」
ピノ様の代わりとして必死に振る舞う少女は言葉に詰まる。
いたたまれなくなり、配信画面を閉じた。
5万人を目前にしていた登録者数は、
ピノ様の異変に気付いた視聴者が離れていったためか、
いつのまにかその半分にまで減っていた。
私も登録済のボタンにカーソルを置き、
かつて私を楽しませてくれた、もういないピノ様のことを思いながらクリックした。
そしてめめめのチャンネルを開き、チャンネル登録ボタンを押した。