これ村上春樹だろ

唐突だけど、僕は神になった。
そんなもんうそだ、神なんていやしないのさ、って言う人もいるかもしれないけど、これは紛れもない事実だよ。
僕が自らを神になったと自覚したのは、だいたい高校生くらいのとき。
昼休みに、ぼうっと教室の窓からなんだか暗いどんよりした重い雲を眺めていたら、なぜだかふと僕が小学生だった頃を思い出したんだ。
高校生になって芽生えた連帯感と責任感がなかった小学生のとき、僕は僕自身が思うことをなんでも先生に言っていたし、同級生とも何度もぶつかった。
それでも僕は僕を貫き通したんだ。
でも、今は違った。さっきも書いたけれど、高校生になって小学生や中学生では手にできなかった自由というものを手にして、もっと僕自身の考えを皆と共有できるんだ、と思ったらそうじゃなかった。
なぜだか自由というものが僕の枷になっていた。自由に縛られていた。
法律の留保みたいな感じかな。
教師から自由が与えられただけだった。
僕自身が行動して掴んだ自由じゃなかったんだ。
でも、それでも、僕は行動をした。
僕自身の考えを皆に伝えているんだ。
そうじゃなければ、この流れが速い世の中では僕自身という個が死んでしまう。
孤になっても構わない。
死ぬよりはマシだ。
こうして僕は神になった。