高田健志は穴を掘っていた。昨晩、愛犬が死んだのだ。
しばらく手を働かせていると、何か土とは違うものがシャベルの先に当たった。それは心臓であった。彼はポケットから布きれを取り出し、丁寧に汚れをふき取ると、時折激しく脈打つそれを胸の内にしまい込んだ。以後、世界で地震は確認されていない。