「悲しかった」
別れの際に純一が放ったこの言葉は一年が過ぎた今も健志の胸に刺さって消えることは無い。
生涯でたった一人、心から愛した男。既に道別れて二度と会うことは無いであろう愛しき人を思う度に、健志の眼からは涙が溢れる。
「純ちゃん……どうして……?」
これは一体何度目になるだろうか。いつものように空に問いかけるも当然応答は無い。
しかしもはやそこに感情の揺れは無いのだ。元より返事など期待しておらず、ただ悲しみに心が悲鳴を上げて怨嗟となって言葉が漏れ出すだけなのだから。
しかし、今日に限っては少しだけ様相が違った。
「高田さん……ここにいたんすかぁ……」
愛した男と今も仲睦まじくしている恋敵。誰よりも憎いその男が健志の目の前に立っていた……。