2011年11月の北海道北部。林道さえ入っていない奥地の天然林200ヘクタールを求め、不動産関係者が現地を訪れた。

「この辺鄙な地を選んだのは、水源地の売買規制が始まった道央・道南を避けるためだ。不在村地主の山を中心に購入したい」

 仲介したこの業者は、道央の山を中国資本に売却した実績を持つ。

 狙われた山はかつて70数戸の集落があったが、1962(昭和37)年の台風災害で全戸離村し、
以来、無人になっている奥山だ。林業が成り立つ場所ではない。同行した関係者が、
目的不明の買収話を不審に思って役場に連絡したことにより、その地は地元篤志家が私財を投じて購入することで決着した。

 仮に、現地視察に同行した関係者が役場に情報を伝えなければ、どうなっていただろうか。恐らくこの無人の土地は、
役場も地元住民も知らない間に、仲介者を通じて売却され、将来的に役場は所有者情報を追いきれなくなっていた可能性が高い。
無人の奥山が知らぬ間に国際商品になりかけていた事実に衝撃を受けて、役場はこの4月から不在地主所有の森林についての実態把握に乗り出した。