コングロマリットとして見た場合、バークシャー・ハサウェイは「製造・サービス・小売」や「鉄道」、
「公益・エネルギー」の利益が全体の利益を左右するため、これらの事業の見通しを予想しなければなりません。

ちなみに、バークシャー・ハサウェイの利益の内訳を眺めると、「投資・デリバティブ」が最も大きいのですが、これは相場の影響を受けやすいため不安定で、2011年12月期はマイナスに落ち込んでいました。
ちなみに、「保険引受け」も不安定です。

さて、バークシャー・ハサウェイの「製造・サービス・小売業」には、2015年に買収した複合金属製品の「プレジション・キャストパーツ(PCP)」
や金属パイプ、銅管、工業ファスナーを手掛ける「マーモン・ホールディングス」、ウォルマートに商品を配送する「マクレーン」、下着メーカーの「フルーツ・オブ・ザ・ルーム」、
チョコレートの「シーズ・キャンディーズ」、ソフトクリームの「デイリー・クイーン」などがあります。

また、「鉄道」には2010年に買収した「バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)」が、「公益・エネルギー」には「ミッド・アメリカン・エナジー」があります。

これらの傘下企業の利益の伸び率が、S&P500構成企業の利益の伸び率を上回り続けることができるかと言えば、おそらく「ノー」です。
一方で、ほぼ安定して年間200億ドル超もの利益が見込めるので、この利益がどこに向かうかが重要になってきます。

先日の株主総会では、バフェット氏はこれまでの無配方針と、PBRが1.2倍を割り込んだら自社株買いを実施するという基準の見直しを示唆しており、将来的には配当や自社株買いで株主に還元される公算が大きいです。
そのため、投資家は配当を再投資するなどしてリターンの最大化に努めなければなりません。

また、バークシャー・ハサウェイは大きくなりすぎたことから、今後も大型の投資案件が中心となりますが、買収した大企業の利益の伸び率がS&P500指数を上回り続けることは難しいです。

こうしたことから、バークシャー・ハサウェイが過去52年間のようにS&P500指数を大幅にアウトパフォームし続けられるとは考え難く、1〜2%pt程度上回るだけというのが大方の見方です。

最近の好調な業績を背景に、バークシャー・ハサウェイの先行き見通しに楽観的になりすぎている人は少し冷静になった方が良いですよ。