アメリカは事実上の「一党制」である

ユダヤ系アメリカ人の最高裁判事任命、FRBの創設と並んで、ウィルソン大統領の時代に注目すべきことは政府の情報操作が進んだことです。

1914年6月、セルビアのサラエボでオーストリア皇太子が暗殺された事件から第一次世界大戦が始まりましたが、
「ヨーロッパにかかわるな」という世論が強かったアメリカ政府は動けなかった。
そこで、ドイツとの戦争を国民に納得させるために、大統領直属の組織として「広報委員会」が設置されました。
この降雨法委員会が世論工作を行って、1917年4月にやっとアメリカは第一次世界大戦に参戦することができたのです。
いわば「世論工作機関」ともいえる広報委員会の中心人物が、
その後ジャーナリストとして活躍することになるウォルター・リップマンと、広告業界で敏腕を発揮したエドワード・バーネイズです。
アメリカの国民の思考を政府に好ましい方向にコントロールするというメディアの隠れた役割の源泉は、この広報委員会に求められます。

前述しましたが、バーネイズは国民に気づかれずに彼らの考え方をコントロールする「目に見えない統治機構」が存在することを、自らの経験も踏まえて明らかにしています
(『プロパガンダ―こんなチョろい大衆の騙し方』成甲書房。
この「目に見えない統治機構」こそ、アメリカの真の支配者たるディープ・ステートです。

『世論』(岩波文庫)という著書があり、かつて「ジャーナリストの鏡」と称賛されたウォルター・リップマンは、
「アメリカの民主主義は幻想だ」と喝破しましたが、これはアメリカ国民が四年ごとにディープ・ステートが選んだ大統領候補を選ぶ自由しか有していないことを指摘したものです。
つまり、アメリカは二大政党の政治体制ではなく、事実上の一党制であるということです。

共和党と民主党の政策には若干の差異はありますが、ディープ・ステートの許容範囲を踏み出すことは従来は出来なかったのです。
もし大統領がこの範囲を逸脱した場合は、排除の手が伸びてきます。
(中略)