小中学校の全国学力テストで気がかりな結果が出た。理科の問題解決力や探究力といった新学習指導要領で重視される内容の出題で成績が振るわなかった。授業の改善と指導力向上に生かしてもらいたい。

小学6年と中学3年を対象に、毎年実施している国語と算数・数学に加え、今年は理科が4年ぶりに実施された。
理科の平均正答率は小学校で約6割にとどまり、中学は5割を切った。教科書に載っていない場面設定の出題もあり、児童生徒は苦戦したようだ。

小学校では、鉄棒に水滴や氷が付着している絵を示し、空気中の何が冷えて発生したのか記述する問題で「水蒸気」などの正答率は約6割で、「空気」「気体」などの誤答があった。

教科書の内容を覚えるだけの単純な知識では、生活場面への応用が利かない。生活の中の「なぜ」を踏まえた指導は、子供たちの興味とその先を知りたいという学びの意欲にもつながるはずだ。

中学では、ばねに加える力と縮む長さの関係の実験で、どんなデータが不足しているのか考え補う方法を記述する問題で、正答率が約4割と低かった。

実験や観察では、授業時間内に終わらせようと結果にばかり注目し、教員が指示するままの作業で終わっていないか。実験の目的や課題解決のため、どんな工夫が必要かを考えさせているか。

理科が成績上位の秋田、石川、福井などは国語、算数・数学の成績も良好だ。論理的思考や読解力は、他の教科につながる力であることも再認識したい。

https://www.sankei.com/article/20220802-MR4KTVMUDBP43FB6LCLOOZREE4/