コロナウイルスが明らかにした「エビデンスに基づく医療」の虚構

■データがあるのに真実は見えない

 新型コロナウイルスにどう対応するかは客観的なデータが教えてくれるはず……と思っていた人は、すっかりわけがわからなくなっているだろう。

 「ロックダウンして短期間だけがまんすれば未来は明るい」と言う人、「それほど危なくないから経済を優先するべきだ」と言う人、それぞれがもっともらしいグラフを持ってきて、こうすればこの数字はこうなる、だから取るべき策はこうだとプレゼンするのだが、それぞれ客観的な数字を見ているはずなのに結論がまったく違う。

 しかも予測の内容が毎日のように変わる。

 あげくに「昨日と今日とでは状況が変わっているので態度を変えることこそが科学的である」という理論まで飛び出すありさまで、聞く立場からは思考の過程をまったく再現できず、したがってほかの情報と照らし合わせることもできず、焦点は「その人に全権委任するかどうか」、判断材料はその人の権威しかないといった具合に、現代社会はデータから出発していつのまにか中世に戻ってしまったようだ。

 なぜこんなことになってしまったのだろう。 

現代ビジネス 9/21(月) 10:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/a6c836172e5a09b6e7c0bf6f836ea00ad3b3c8d1