0001しじみ ★
2020/03/13(金) 20:55:56.04ID:CAP_USER→今回のケースでは、HIV定着を防ぐ遺伝子変異を持つドナーの骨髄を移植することで成功した
イギリス・ケンブリッジ大学により、世界で2例目となるHIV患者の完治が報告されました。
現在の医療では、HIVを完全に排除する治療法はなく、薬で病気の進行を抑えるのが現状です。
これまでのHIV完治報告は、2011年のアメリカ人男性ティモシー・ブラウンさんの一例のみでした。
研究主任のラヴィンドラ・グプタ氏は「今回、HIVを克服した患者には骨髄移植という措置がとられました。術後30ヶ月にわたる追跡調査の結果、HIVの再発が認められないことから完全に完治したと言える」と話します。
研究の詳細は、3月10日付けで「The Lancet HIV」に掲載されています。
Evidence for HIV-1 cure after CCR5Δ32/Δ32 allogeneic haemopoietic stem-cell transplantation 30 months post analytical treatment interruption: a case report
https://www.thelancet.com/journals/lanhiv/article/PIIS2352-3018(20)30069-2/fulltext#%20
■「HIV」と「エイズ」は何がちがう?
「HIV」と「エイズ」は同じ場面でよく用いられますが、意味合いは異なります。
一言で言うと、HIVはエイズを引き起こすウイルスのことで、エイズはHIVによって生じる病気状態のことです。
具体的に、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、体を細菌やカビなどの病原体から守る「Tリンパ球」や「マクロファージ(CD4陽性細胞)」に感染するウイルスを指します。
つまり、体内にある免疫システムを壊すウイルスです。
そして、ウイルス感染後、HIVが増殖していく中で発症する病気状態を「エイズ(後天性免疫不全症候群)」と呼びます。HIVにより発症する疾患は主に20ほどありますが、そのどれかを発症した時点でエイズ診断されます。
HIVは血液や精液、膣分泌液、母乳に含まれるため、主な感染経路は、性的感染・血液感染・母子感染の3つです。
先述したように、現段階でHIVを完全除去できる治療法はなく、抗HIV薬によって増殖を抑え、エイズ発症を防ぐしかありません。
■骨髄移植でHIVを奇跡的に克服
今回、HIVの克服に成功したのは、イギリス在住のアダム・カスティーリョさん(40)。
アダムさんは、2008年にHIV感染が認められ、2012年から追跡治療を開始。その翌年には、血液がんの一種である「ホジキンリンパ腫」と診断されました。
その後、2016年にドナーから受けた骨髄の移植手術を受けています。骨髄を提供したドナーは、きわめて稀なことに、HIVの定着を妨げる遺伝子を持っていました。
この遺伝子変異は、ヨーロッパ総人口の1%以下にしか現れないそうです。
アダム・カスティーリョさん本人/ Credit: The New York Times
手術は見事に成功。術後の追跡診断でも、30ヶ月にわたり再発が認められないことから「完治した」と判断されています。
主治医でもあるグプタ氏によると「アダムさんの体内にHIVの断片が、いわゆる化石化した状態で見つかりました。もはや増殖できる状態ではなく、再発の危険性もないでしょう」と話しました。
ラヴィンドラ・グプタ氏/ Credit: The New York Times
その一方で、「今回のような幹細胞(骨髄内に存在)の移植はHIVの一般的な手段ではなく、危険も伴う」と述べています。
幹細胞移植の死亡率は10%を超えており、毎年100万人近くが亡くなっています。
カスティーリョさんの場合は、この方法以外では命を落とす瀬戸際までさしかかっており、最後の手段として選択されたそうです。
グプタ氏は「幹細胞移植という手段は、患者が何もしなければ死亡する状態にあるかどうか、冷静に判断しなければならない」と話します。
HIV克服の道が完全に拓けたと言うには、まだ早そうです。
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https://nazology.net/archives/53949