■絶滅寸前のシャンハイハナスッポン、最後の望みをかけた捜索が始まっている

 中国の蘇州動物園で4月、知られている限り最後のメスだったシャンハイハナスッポンが死亡した。残されているのは飼育下の1匹と野生の数匹のみで、種の絶滅に限りなく近づいている。

 それでも、保護活動に従事する人々はあきらめていない。

 野生生物保護学会(WCS)中国支部のディレクターを務めるアイミン・ワン氏は「私たちはまだ希望を捨てていません。別のメスを探しています」と語る。ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるワン氏は、淡水に暮らすカメとしては世界最大で体重100キロにもなるシャンハイハナスッポンを、雲南省の川で探し続けている。水質汚染や生息地の消失、違法取引が原因で、シャンハイハナスッポンの個体数は急激に減少した。

 新たな個体はまだ見つかっていないが、手がかりとなる情報もいくつか寄せられている。ワン氏によれば、紅河を泳ぐ巨大なカメが地元の漁師たちに目撃されているという。ただし、報告があったのは数年前のことだ。ベトナムの湖でも2匹の目撃情報があるが、性別ははっきりしていない。「オスとメスの両方が確認されれば、2匹を引き合わせ、繁殖させられるかもしれません」(参考記事:「絶滅寸前のスッポン、繁殖可能なオスはどこに?」)

■成功の一歩手前で起きた悲劇

 今回のメスの死で何より残念だったのは、飼育下繁殖の失敗が何年も続いた後、ようやく成功が見えてきた矢先に起きたということだ。

 米国サウスカロライナ州に拠点を置く「タートル・サバイバル・アライアンス」の会長リック・ハドソン氏によれば、このメスは100歳以上と推測されていたが、シャンハイハナスッポンは寿命が長いため、まだ繁殖可能な年齢だったという。蘇州動物園がこのメスを引き取った際、タートル・サバイバル・アライアンスが手助けを行った。

 飼育下のオスとの繁殖の試みは、なかなかうまくいかなかった。このオスも100歳以上と推測され、調べてみたところ、古傷があることが判明した。「ペニスがボロボロでした」とハドソン氏は説明する。「75%が失われているような状態でした」

 それでも、ハドソン氏らはあきらめず、最終的に、誰も試みたことのない人工授精の方法を考え出した。だが4〜5回に及ぶ挑戦のかいもなく、受精卵を得ることはできなかった。(参考記事:「絶滅寸前のキタシロサイ、最後のオスが感染症に」)

「しかし、今年は違いました」とハドソン氏は話す。「これまでで最も良い精液を得ることができ、正常な卵管に注入しました。すべてがとても順調でした」

「ただ彼女は麻酔から目覚めることができませんでした」

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