【3月8日 AFP】
太陽系が位置する天の川銀河(銀河系、Milky Way)の質量を、これまでになく正確に推定したとする天文学者チームの研究結果が7日、発表された。計算には暗黒物質(ダークマター)の重量を含む最新のデータ群を使用したという。

 研究は、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア(Gaia)」と米航空宇宙局(NASA)が共同で行い、銀河系の質量を太陽の約1.5兆倍と算出した。過去の研究では、太陽質量の5000億倍〜3兆倍という推定結果が得られていた。

 結果の不確かさは、主にダークマターの測定に用いられる手法が異なることから起きていた。電磁波を吸収したり反射したりしないダークマターは、宇宙の質量の90%近くを構成すると考えられている。

 ドイツを拠点とする欧州南天天文台(ESO)のローラ・ワトキンス(Laura Watkins)氏は、「ダークマターを直接的に検出することがどうしてもできない」ことを指摘しながら、「このことが、銀河系の質量における現在の不確実さをもたらしている。見えないものを正確に測定することは不可能だ」と続けた。

 この問題を回避するために、研究チームは球状星団の速度を測定した。恒星が密集した星団である球状星団は、銀河の周りを非常に大きな半径の軌道で周回している。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)天文学研究所のN・ウィン・エバンス(N. Wyn Evans)氏は、「銀河の質量が大きいほど、銀河の重力下で軌道運動する球状星団の速度が速くなる」と説明し、「過去に行われた測定の大半では、地球に接近したり地球から遠ざかったりする星団の速度が明らかになっている。これは地球からの視線方向に沿った速度成分だった」と話した。

 しかし研究チームは今回、星団の横方向の運動を測定するために、ガイア宇宙望遠鏡とNASAのハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)で収集されたデータに注目。ここから、星団の速度をトータルで算出し、その結果を基に星団の質量を推算することができた。

 銀河系には、最大4000億個の恒星と約1000億個の惑星が存在すると考えられている。太陽系に属する地球もそのうちの一つだ。(c)AFP

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