本来の服用量の10倍の量にあたる勃起不全の治療薬を飲んだあと、視界にドーナツ型の欠けができてしまったという男性が報告されました。命には別状ないとのことなのですが、視界の欠けを治療する方法はなく、男性が今後視力を回復できるかどうかは不明とのこと。一般的な勃起不全薬の服用後、視力に問題が生じるというケースは過去に複数報告されています。

Retinal Toxicity Associated With Excessive Sildenafil Ingestion. | Clinical Pharmacy and Pharmacology | JAMA Ophthalmology | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamaophthalmology/article-abstract/2720488

A Man Overdosed on an Erectile Dysfunction Drug. Then He Saw 'Doughnut-Shaped' Spots in his Vision
https://www.livescience.com/64468-sildenafil-overdose-vision-loss.html

視力を一部失ったとされるのは、アメリカ、マサチューセッツ州在住の50代半ばの男性。男性はバイアグラにも含まれる勃起不全の治療薬「シルデナフィル」の液体版を一瓶まるまる飲み干したとのこと。ボトルの容量は30mlで、約10回分の服用量にあたる、750mgのシルデナフィルが入っていたといいます。

シルデナフィルを一気飲みした後、男性は目に不調を感じ始めました。2カ月たっても目が治ることがなかったために病院に行き、医師に「視界にドーナツ型の欠けがある」と説明。検査を行ったところ、男性は感受した光を電気シグナルに変換して脳に送る網膜細胞に問題を抱えていることが判明しました。この症状に対する治療は存在せず、男性はその後の診察の予約も取ってないとのことで、視力が戻るかどうかははっきりわかっていない、と男性の診察を行った眼科医のHilary Brade医師は述べています。

シルデナフィルのオーバードーズが問題となったのは今回が初めてではありません。2012年にはイギリスの男性がシルデナフィル1500mgを摂取した後に網膜の異常によって「視界がぼやける」という症状を訴えたという報告があります。また2018年にもシルデナフィルを一瓶飲み干した男性が「視界が赤く染まっている」として病院を訪れました。

シルデナフィルはペニスへの血流を制御する「ホスホジエステラーゼ5」という酵素を阻害することで勃起不全を治療します。一方でシルデナフィルは網膜に存在する「ホスホジエステラーゼ6」という酵素も阻害してしまうため、大量に摂取すると目に悪影響を与えると考えられています。

またシルデナフィルを服用している人に「視神経への血流が失われてしまい、突如として視力を失う」という部虚血性視神経症(NAION)の症状が現れたことも報告されているとのこと。ただし、シルデナフィルがこのような症状の原因であるかは定かでなく、シルデナフィルを服用している人に他の副作用のリスクがあるのかどうかも記事作成時点でははっきりしていません。なお、視界にドーナツ型の欠けが現れた男性は、NAIONではなかったと伝えられています。

https://i.gzn.jp/img/2019/02/03/overdosed-erectile-dysfunction-drug-vision-loss/bottle-cork-dangerous-159296.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20190203-overdosed-erectile-dysfunction-drug-vision-loss/