−ブチサンショウウオには実は3種が含まれていた−

西川完途 地球環境学堂准教授(兼・人間・環境学研究科准教授)、松井正文 名誉教授、富永篤 琉球大学准教授の研究グループは、遺伝子解析・形態解析の結果、西日本を代表するサンショウウオであるブチサンショウウオ(Hynobius naevius)の中に、実は3種のサンショウウオが含まれていることを明らかにしました。そして、中国地方の集団を、チュウゴクブチサンショウウオ(Hynobius sematonotos)、九州北東部の集団をチクシブチサンショウウオ(Hynobius oyamai)として新種記載(命名)しました。

 本研究により、1838年に記載され古くから知られている日本の代表的なサンショウウオの中に実は3種が含まれ、日本の両生類の多様性が予想以上に高いことが明らかになりました。

 世界のサンショウウオ属のうち、半数以上の種が日本に固有種として分布しており、この仲間の多様性の把握は日本の動物相の形成史を理解する上で重要な知見となります。また今回の分割にともなって各種の分布域は狭くなり、その分、各種の絶滅リスクも高くなります。つまり、本研究成果は、各種の保護対策の再検討の必要性があることも示唆しています。

 本研究成果は、2019年1月29日に、国際学術誌「Zootaxa」のオンライン版に掲載されました。



図:(A)ブチサンショウウオ(Hynobius naevius)、(B)チュウゴクブチサンショウウオ(Hynobius sematonotos)、(C)チクシブチサンショウウオ(Hynobius oyamai)
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京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/190129_3.html