米中西部などを先月末に襲った記録的な寒波について、気象庁は1日、臨時の「世界の異常気象速報」を発表し、米国周辺で偏西風が大きく蛇行したことに伴い、北極上空から「極渦きょくうず」と呼ばれる強い寒気の渦が米中西部付近まで南下した影響によるものだとの見解を示した。専門家は「日本付近にも極渦は数年に1度、大きく南下してくることがある。その場合には普段とは異なる大雪になる恐れがある」と話している。

 この臨時の速報は社会的な影響がみられる顕著な気象現象が国外で発生した場合に発表される。同庁によると、今冬は、偏西風と呼ばれる西風が米国付近の上空で大きく南に蛇行している。南に蛇行した部分を埋めるような形で、北極から極渦が入り込んできているという。

 その結果、米中西部では日平均気温が平年より12度以上低くなった地域が広がっている。1月31日までにシカゴ(イリノイ州)で氷点下26・5度、ミネアポリス(ミネソタ州)で同30・1度を観測し、いずれも平年を20度以上も下回った。AP通信によると、死者は少なくとも26人に上る。同庁によると、寒さはここ数日いったん緩むが、その後、今月中旬まで再び寒気が南下してくる見通しだという。

 東京大先端科学技術研究センターの中村尚教授(気候力学)によると、偏西風が日本付近で南に蛇行すると、極渦が南下してくる。昨年2月に福井・石川県境付近で約1500台の車が立ち往生した記録的な大雪は、極渦の南下によるものだという。中村教授は「今冬は日本付近では極渦の異常な南下は確認されず、西日本を中心に暖冬傾向にある」と話している。

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読売新聞オンライン
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