三重県内のスギ花粉の飛散量は平年の3倍程度と非常に多く、本格的な飛散開始は2月中旬になるという予想を、津市修成町の耳鼻咽喉科「ゆたクリニック」院長の湯田厚司・元三重大准教授(55)がまとめた。ヒノキ花粉も過去最大の飛散量になる可能性があるという。湯田院長は「花粉の飛散が始まる前に医療機関を受診し、早めの対策を心がけてもらいたい」と呼びかけている。

 一般的には、前年夏の気温が高いとスギ花粉が多くなるとされる。津地方気象台によると、昨年7月の津市の平均気温は28・7度と平年(26・3度)に比べてかなり高く、日照時間も261・9時間と平年(188・8時間)を大きく上回った。ただ、近年は地球温暖化の影響で、気象条件だけでは予想が難しくなっているという。

 そこで、湯田院長は県林業研究所(津市)の協力を得て、昨年11月初旬から津市内で約150本のスギの雄花の生育状況を調査。今年度は雄花の着生が非常に良く、花粉の飛散量は平年の3倍、前年の2倍程度になる見込みだという。

 地域別では、津市や松阪市など中南勢は多く、北勢はほかの地域より少ない見通し。東紀州はスギの木が多いものの、山と海が接近しているため、花粉が平野部に落ちにくく、大飛散にはならない。

 飛散の開始時期は、11月中旬の気温に影響されるといい、昨年は津市の11月中旬の平均気温が14・4度と平年(12・7度)に比べて高かったため、本格的な飛散開始は平年よりやや遅れて2月中旬、ピークは3月初旬になりそう。期間が短くなる分、1日当たりの飛散量は多くなる。

 また、ヒノキ花粉は近年、増加しており、スギ花粉と同様の飛散傾向になることが多い。本格的な飛散開始は3月後半とみられ、直前に大雪や大雨が降るなど天候が大きく崩れなければ、非常に多くなる見込み。

 2月からインターネットのホームページ「三重県花粉情報」(http://www.mie-kafun.com)で飛散情報を公表する。湯田院長は「今年は大飛散が予想されるので、症状が悪化してからの治療では効果が出にくい。スギ花粉が飛び始める直前から薬を服用する初期療法が効果的だ。マスクやメガネの装用、洗濯物を室内に干すなどの予防策も効果がある」とアドバイスしている。


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読売新聞
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