神戸市立王子動物園(灘区)は来年度から、ジャイアントパンダの専従となり繁殖に関する調査研究に当たる「飼育研究員」1人を新たに採用することを決めた。現在飼育しているパンダは中国から繁殖研究のため貸与されているが、中国側から成果の乏しさを指摘されている。研究体制を充実させ、新たなパンダの貸与につなげたい考えだ。

 王子動物園には2000年から、繁殖研究の目的で「タンタン」(雌・23歳)が貸与されている。飼育員2人がエサやりや掃除を担当するが、調査研究は獣医師が担っている。

 新たに、採用する飼育研究員は獣医師と連携しながら主にパンダの繁殖についての調査研究を行う。パンダ専従の研究スタッフを置くのは初めてという。

 パンダの貸与を巡っては先の読めない状況が続く。

 タンタンは20年に契約が終わる予定で、市は貸与期間の延長を求めている。また、市は別のパンダの貸与も中国側に求め、日中両政府が交渉を進めており、同園のほかに仙台市の八木山動物公園が貸与先として挙がっている。

 ただ、王子動物園ではタンタンが雄のコウコウ(10年に急死)との間で繁殖に失敗した経緯がある。今年5月に日中友好議連の市議らが中国を訪れた際には、保護団体から研究成果の乏しさを指摘された。新たな貸与どころか、タンタンの貸与の延長すら確実ではない状況になっている。

 王子動物園は「採用された人にはパンダのスペシャリストになってもらい、中国に研究成果をPRすることができれば」としている。

 採用は来年4月から1年契約で最長5年間。専門学校や大学などの生物、畜産、動物関係の専門課程をすでに卒業しているか、今年度に卒業見込みの人が対象。来年1月10日までに応募する。申込時に提出する小論文で1次選考を行い、2次選考は面接を実施する。

■パンダのLIVE中継
24/7 HD Panda Live @ iPanda https://youtu.be/uNYEZXvRlB8

https://www.yomiuri.co.jp/photo/20181230/20181230-OYT1I50009-N.jpg

読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/science/20181230-OYT1T50033.html