0001しじみ ★
2018/11/07(水) 12:36:14.90ID:CAP_USER■宮殿守護者の木像の、木製部分がシロアリの糞に変わっていることがわかった
ペルー北部にあるチムー文化の宮殿遺跡で、“守護者”をかたどった750年前の木像が見つかった。喜びにわいていた考古学者たちは、木像を土の中から掘り出して、さらに驚いた。19体の木像はシロアリに食い荒らされ、人の形をした70センチほどの木像の大部分がシロアリの排泄物に入れ替わっていたからだ。(参考記事:「鳥の笛、チムー王国の墳墓」)
すべての木像がシロアリに食い荒らされていたわけではないと、主任考古学者のヘンリー・ガヨソ氏は語る。とはいえ、ほとんどシロアリの糞でできているのではないかと思われるほどの像もあれば、層になった糞の下にもとの木の構造が残るものもあるようだと、同氏はナショナル ジオグラフィックのメール取材に答えている。
木像は粘土でできた仮面を被り、片手に木製の笏(しゃく)状のもの、もう片方の手には切り落とされた人の首と見られるものを持っている。ところで、どうしてシロアリに食い荒らされた木像は、今に至るまで原形をとどめることができたのだろうか?
秘密はシロアリの生態にある。シロアリは光を避ける。このため、木の中を食い進むときも、トンネルの中に光が入らないようにするのだと、米ペンシルベニア大学考古学人類学博物館の管理責任者、リン・グラント氏は説明する。
「シロアリの糞が、シロアリが作ったトンネル全体に詰まっているとは限らないので、一見、像の形が残っているように見えても、注意して扱わないと、その形は簡単に崩れてしまいます」と言う。「ともあれ、発掘チームには、おめでとうと言いたいですね」
「木像が形を残していたというのは驚きです」と言うのは、米スミソニアン博物館保全研究所の所長、ロバート・ケストラー氏だ。「700年後の現在も、往時の形が残るというのは、大変なことなんですよ」
今回の発見は、最近ペルー北部にあるチャン・チャン遺跡のウツアン宮殿(以前は「グランドチムー宮殿」と呼ばれていた。)で行われた発掘の成果の一つだ。チャン・チャンは10世紀から15世紀に栄えたチムー王国の首都で、最盛期には南北アメリカ大陸最大の都市だった。ユネスコの世界遺産にもなっているチャン・チャン遺跡には日干し煉瓦で造られた巨大な10個の建築物があり、なかでも最も大きいのがウツアン宮殿である。
2018年の初めには、チャン・チャンの近くで大勢の子どもとリャマの子を生贄にする儀式が行われていた証拠が発見され、ペルーに残るチムー文化の遺跡は、今世界中で注目を浴びている。
木像は通路の両側に10個ずつ作られた窪みの中に収められていた。30メートルほどの通路は、儀式に使われた4000平方メートル以上もある中庭につながっている(元は20体あったと見られる木像のうち、1体はシロアリによって原形をとどめていないほど崩壊していた)。ペルーのパトリシア・バルブエナ文化相は、この発見を「考古学上の大変重大な発見」と評している。
ウツアン宮殿の入口を通って広大な中庭へ向かった人々は、王権の象徴である笏(しゃく)と切り落とされた首を持った木像の視線にさらされて、畏怖の念に打たれたことだろうと、考古学者のガヨソ氏は語る。
「当時、この宮殿を訪れた人は、ウツアンの支配者が、非常に強大な力を持つ人物であることを確信したことでしょう」と、ガヨソ氏は続けた。
■ペルー北部、チャン・チャン遺跡にあるウツアン宮殿の儀式用通路を守護していた750年前の木像
https://cdn-natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/110600479/04.jpg
https://cdn-natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/110600479/03.jpg
https://cdn-natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/110600479/02.jpg
ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/110600479/