(CNN) 英国などの研究チームが、新しい人工衛星技術を使って地中海に生息するクジラを宇宙から観察するプロジェクトを開始した。

同プロジェクトは英南極観測局(BAS)が主導。超高解像度のVHR衛星画像技術を使って、地中海のナガスクジラやマッコウクジラを観察する。

BASでは船舶とクジラの衝突を避けるため、船舶がクジラの生息域に入ると自動的に警報が発信されるシステムの開発を目指している。

BASの担当者は、「クジラは20世紀の乱獲によってほぼ絶滅寸前まで追い込まれたが、その後個体数が回復している。しかし一部の個体群は、船舶と衝突したり網に絡まったりする被害に遭っている」と話す。

国際捕鯨委員会(IWC)は2020年までに、船舶がクジラに衝突する問題への対策を確立したい意向だが、この問題は数値化が難しいと指摘している。

今回の技術は衛星画像を手がけるデジタルグローブが開発したもので、既にアルゼンチン近海のミナミセミクジラやハワイ近海のザトウクジラ、メキシコ近海のコククジラの撮影に使われている。

BASによれば、解像度が上がったことにより、クジラのひれや尾などの詳細まで確認できるようになった。

衛星画像を使えば沿岸から遠く離れた場所や、船舶では到達しにくい場所でもクジラを観察することができ、保護活動の大きな役に立つと期待を寄せている。

https://www.cnn.co.jp/storage/2018/11/02/ff3cba54a980caab804dc556155d2770/t/768/432/d/-01-whales-satellite-audit-super-169.jpg
https://www.cnn.co.jp/fringe/35128035.html