統合失調症と双極性障害(そううつ病)の入院患者が退院から1カ月以内に精神科を受診すると、再入院のリスクを約5割も減らせるという国の診療報酬明細書(レセプト)の分析結果を、医療経済研究機構などのチームがまとめた。病状悪化に伴う再入院を防ぐため、患者が退院後に医療支援を受けられる体制が求められる。

 レセプトのデータベースを使い、2014年度に新たに精神病床に入院した高齢者を除く統合失調症と双極性障害の患者4万8579人の退院後を追跡。85%が30日以内に精神科を受診していた。

 退院から30日以内の受診の有無と、退院後30〜210日の半年間での再入院との関係を調べると、受診した層の再入院率は22%だったのに対し、しなかった層は38%で、受診でリスクは46%減っていた。退院後の早期受診と再入院の関連性が明らかになったのは初めてという。

 また、入院までの半年間に精神科を受診する機会の少ない患者は、退院後1カ月以内に精神科を受診しない傾向もみられた。

 退院から30日以内の精神科の受診については、米国の低所得者層で統合失調症が64%、双極性障害が62%、カナダ・オンタリオ州で統合失調症が65%との研究報告があり、いずれも日本の方が高いとみられる。

 調査した奥村泰之・東京都医学総合研究所主席研究員(臨床疫学)は「再入院を減らすため、患者が退院後に精神科から支援を確実に受けられるよう、国などによる体制作りが必要だ」と指摘する。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20181029/k00/00m/040/107000c