一方で、ダイエット飲料とフルーツジュースはどうだろう。

「実は、人工甘味料の飲料と、フルーツジュースも正の相関、つまり見かけ上、糖尿病の
リスクが高そうな結果が出ました。でも、それらは証拠が弱いと考えています」

 論文を見ると、人工甘味料のソフトドリンクを飲んでいる人は8%リスクが高く、
フルーツジュースを飲んでいる人は7%リスクが高いというように読める。砂糖入りの
ソフトドリンクよりは穏やかだが、有意な結果が読みとれる。これらのどこが
「証拠が弱い」のだろうか。

「まず、人工甘味料を使ったダイエット飲料ですが、いろんな解析をしていって、
太っている人ほど人工甘味料のダイエットコークなどのダイエット飲料を飲んでいる
傾向があると判断しました。それを加味すると、たとえ正の相関があっても、強い
エビデンスがあるとは言えないというのが結論です。これについてはウェブで読める補遺
(Supplementary Material)に詳しく書きました(※2)」

 この補遺は26ページにも及ぶもので、印刷される論文ではつくせない議論が存分に
行われている。ダイエット飲料を飲む人に太っている人が多いとすると、肥満はそれ自体
大きな糖尿病リスクなのだから、ダイエット飲料がいけないのか、肥満がいけないのか分から
なくなる。その点を考慮すると「正の相関」のエビデンスは弱いということが分かった。