(CNN) 馬は人間と異なる色覚を持ち、オレンジ色が緑色に見えている――英国の大学がこのほど、そうした研究結果を明らかにした。馬の安全確保という観点から、競馬場の設備の塗装などを再考する動きにつながる可能性もある。

競馬の一種である障害競走では、コースに設置される横木並びにそれらを飛び越えるための踏切板がオレンジ色に塗られている。騎手が視認しやすくするための配色だ。

しかし英エクセター大学のマーティン・スティーブンス教授が主導した今回の研究によると、馬はオレンジ色を緑色と認識していることが分かった。これは上記の設備が、馬の目には周囲の芝の緑に溶け込んで見えていることを意味する。

同大学の研究者らは、障害物の色を白や黄色に変えて実験を行った。これらの色の変更で馬の視認能力が必ずしも高まったわけではないが、跳躍の仕方には変化が見られたという。

スティーブンス教授によると、視細胞の1つの錐体(すいたい)細胞が人間には3種類備わっているのに対して馬には2種類しかない。このため、「基本的に馬は、人間が青や黄色と認識している色しか視認することができない。赤と緑の違いを識別することはできない」という。

今回の研究は英国競馬統括機構ならびに英国動物虐待防止協会(RSPCA)と提携して行われた。研究者らは、上記の結果を受けて競走馬や騎手の安全向上のための対策が取られ、レース中の事故のリスク低減につながればと期待を寄せる。

馬の視覚については、人間よりも対象を認識できる距離が短いとする博士論文も、馬主向けの情報誌に掲載されている。それによると、対象を細部まで視認できる距離は馬の方が人間よりも50%短くなるという。

論文を執筆したジャネット・ジョーンズ氏は、馬を高速で走らせて障害物を飛び越えさせる騎手にとって、「50%の差は大きい」と指摘している。

■オレンジ色の踏切板も、馬の視界では芝と同じ緑色に
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CNN
https://www.cnn.co.jp/fringe/35127478.html