クジラやイルカの集団座礁と大地震の発生には相関関係が見いだせないとの分析結果を、織原(おりはら)義明・東海大特任准教授(固体地球物理学)らのチームが福島県郡山市で開かれた日本地震学会で発表した。東日本大震災の発生7日前に茨城県鹿嶋市の海岸にイルカの仲間が集団座礁し、両者の関連が騒がれたこともあるが、織原さんは「前兆を捉えていないとまでは言い切れないが、集団座礁を防災に役立てるのは難しい」と指摘する。

 チームは1923〜2011年に国内で鯨類が2頭以上同時に浜辺に打ち上げられたり、漂着したりした48事例を分析。この期間中、座礁現場から半径200キロ以内で発生したマグニチュード(M)6以上の地震は計429回あったが、座礁から30日以内に発生したのは2回しかなく、チームは集団座礁と地震発生に相関関係は見られないと結論づけた。

 また、チームは東日本大震災の発生7日前の11年3月4日、鹿嶋市の海岸にイルカの一種のカズハゴンドウ54頭が集団座礁したケースについても検討。過去の鹿島灘の集団座礁とその後の国内の地震発生状況や、岩手県などの被災沿岸で単独の座礁例が増えていないかなどを調べた結果、偶然と判断した。

 クジラなどの集団座礁は「マス・ストランディング」と呼ばれる。鹿島灘のような遠浅の地形では迷いやすいことや、海中に音波を出す船舶のソナーの影響などが指摘される。

 チームはこれまでも深海魚の目撃例と地震の関連も検証したが、関係性は見いだせなかった。

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毎日新聞
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