(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の土星探査機「カッシーニ」が20年に及んだミッションを終え、土星の大気に突入して燃え尽きてから1年あまり。「死のダイブ」直前に同機のセンサーがとらえたデータをもとに、NASAの研究者らが土星の環や大気を分析した結果が、4日の米科学誌サイエンスに発表された。

カッシーニのデータは全てNASAに送信され、研究者が1年以上かけて解析に当たってきた。今回の観測では、土星と土星の環の間を流れる電流のような形で、放射線帯が閉じ込められていることが判明。カッシーニは磁気圏を突き抜ける際に、土星から放出された放射線をとらえていた。放射線についての理解が進めば、太陽系外惑星探査の手がかりになると専門家は解説する。

土星の大気に突入したカッシーニは、大気中の成分を採集して構成を分析した。これはNASAの探査機「ボイジャー」が1980年代初めに観測した「環の雨」と呼ばれる現象の解明が目的だった。

研究チームによると、カッシーニの「鼻」に当たる分光計は、土星に最も近い環と土星の間にある未知の領域を探し当てた。この環は土星の上層大気がほぼ届く距離にある。

この観測によって、土星の環から上層大気にさまざまな化学物質が降り注いでいることが判明。環は水とメタン、アンモニア、一酸化炭素、窒素分子、二酸化炭素でできていることが分かった。

「環の雨というよりは、環の豪雨状態だった」と研究者は解説する。「水氷と新たに発見された有機化合物は、我々が考えていたよりもはるかに高速で、毎秒1万キロもの物質が環から降り注いでいた」

大気中に最も多く含まれる成分は水素分子だったが、環から降り注ぐ物質には大量の水のほか、ブタンやプロパンのような分子が含まれていたという。

土星の環は大気よりも高速で回転していることから、降り注ぐ物質は長年の間に、大気中の炭素と酸素の含有量を変化させている可能性があると研究チームは推測する。

こうした物質が降り注ぐ理由については、環の中でケイ酸塩や水氷の粒子と原子が衝突し、軌道を離れて大気圏へ落下していると解説し、そのために環の「寿命」は短くなっていると指摘した。

「補充がなければ環が持続することはできない。穴の空いたバケツのようなもの」「環はできたり消えたりする。何らかの形で新しい物質が獲得できなければ、いずれは徐々に枯渇する」と研究者は話している。

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CNN
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