小惑星リュウグウを探査している「はやぶさ2」は3日、欧州の着陸機「マスコット」を分離、着陸させる。マスコットはドイツ航空宇宙センター(DLR)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)が共同開発した。小惑星表面の鉱物を間近で観測、分析する機能を持ち、着陸に成功すればリュウグウの素顔にさらに迫れる可能性が高まる。

マスコットは縦横約30センチ、高さ約20センチ、重さ約10キロの着陸機。小惑星の鉱物を分析する分光顕微鏡「マイクロオメガ」、カメラ、磁力計、熱放射計の四つの観測機器を搭載する。開発費用は約30億〜40億円とされる。

 リュウグウには、9月21日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって開発した小型探査ロボット「ミネルバ2」の2台が着陸し、リュウグウ表面の撮影に成功した。一方、マスコットはマイクロオメガを使い、その場で顕微鏡を使って表面を拡大して波長を調べ、リュウグウ表面の鉱物の成分や水の有無を分析する。リュウグウの物質を直接分析する最初のチャンスになる。

 はやぶさ2は、リュウグウの砂や石などを地球へ持ち帰る計画だが、マスコットの観測結果と帰還後の分析結果を比較すれば、今後の宇宙探査の観測手法の確立に役立つと期待される。

 はやぶさ2は2日に高度20キロから降下を始め、3日午前11時ごろにリュウグウの南半球の高度約60メートルで、機体の左側面に搭載しているマスコットを投下する。マスコットは機体内部の重りを回転させることで姿勢を変える機能があり、着地してバウンドした後、観測に適した姿勢に直す。最初のポイントで観測した後に、1度だけ1メートルほどジャンプして別のポイントに移動する。太陽電池で活動するミネルバ2とは違い、マスコットは内蔵電池を使って活動する。電池の寿命は約16時間とされている。

 DLRプロジェクトマネジャー、トラミ・ホーさんは毎日新聞のインタビューに「ドイツ、フランス日本の3者の協力は、将来に向けて意味ある協力になるだろう。(先代の)はやぶさの偉大な成功の後継ミッションを私たちに提案してくれたことを名誉に思う。小惑星の探査を通じて、地球の生命や水の起源に迫り、私たちがなぜ今ここにいるかを解明したい」と話す。

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毎日新聞
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