オーストラリアとスイスの研究チームが"Flux Capacitor"を開発したと学術誌Physical Review Lettersに発表しました。
Flux Capacitorといえば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズに登場するタイムマシン(デロリアン)が、
時間移動をするために使う"次元転移装置"のこと。チームが開発したフラックスキャパシターの回路構造もそれにそっくりです。
研究は主にオーストラリアの研究機関Centre for Engineered Quantum Systems (EQUS)と、
Future Low-Energy Electronics Technologies (FLEET)が協力して行いました。

FLEETのJared Cole氏は「このデバイスは電気抵抗がゼロになる超伝導体で構成される2つの回路から構成され、
そのひとつは映画に出てくるフラックスキャパシターのデザインにそっくりです」、
さらに「回路に信号を通すと、磁束による量子トンネル効果と呼ばれる現象によって回路に配置したキャパシターの周りを流れます。
このとき、時間反転対称性と呼ばれる物理学的特性が破れます」と説明しています。

われわれ素人が「時間反転対称性を打ち破る」などと聞かされると、
なんだか本当にタイムマシンができるんじゃないかと感じられるものの、
豪クイーンズランド大学のTom Stace教授の言葉を借りれば
「残念ながらこの効果はわれわれを過去に連れて行ってくれるものではありません」とのこと。残念。

その代わり...になるかどうかはわかりませんが、
この回路は入力されたマイクロ波信号を自動車のラウンドアバウトのように1方向にのみ伝送するよう制御する
サーキュレーターとして機能するとのこと。
サーキュレーターは少し手を加えると携帯電話などに不可欠な部品であるアイソレーターにもなるため、
もしこのデバイスが実用化すれば、スマートフォンやWiFiのアンテナをより高感度にしたり、
レーダー機器の改善などにつながると考えられます。

さらにもう少し未来のことを考えれば
「この技術が量子コンピューターの信号の正確な制御や測定を可能とし、
スケールアップさせるための重要なステップになる」と、チューリッヒ工科大学のClemens Mueller氏は説明しました。

今回は残念ながら過去や未来に行けるようになる技術ではなかったものの、
いつの日かFlux Capacitorの技術を使った量子コンピューターを駆使して、
本物の"次元転移装置(Flux Capacitor)"が開発される日が来るのを楽しみに待ちたいものです。

関連ソース画像
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https://japanese.engadget.com/2018/05/29/flux-capacitor/