カバは1日に約40kgの食物を食べ、同じだけの量のうんちを出します。
また、カバは10頭以上の群れをなして生活していることから、普段生息している水場にたまるうんちは、
とてつもない量になってしまいます。エール大学の生態学者であるクリストファー・ダットン氏らの研究チームは、
このカバの大量のうんちが、魚の大量死を引き起こす原因になっていることを明らかにしました。

Organic matter loading by hippopotami causes subsidy overload resulting in downstream hypoxia and fish kills | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-018-04391-6
https://i.gzn.jp/img/2018/05/18/hippopotamus-faeces-causes-hypoxia/00_m.jpg

Hippos poop so much, sometimes their waste kills all the fish
https://www.sciencealert.com/hippopotamus-faeces-causes-water-hypoxia-kills-fish

Hippo waste causes fish kills in Africa’s Mara River | Cary Institute of Ecosystem Studies
http://www.caryinstitute.org/newsroom/hippo-waste-causes-fish-kills-africa-s-mara-river

ダットン氏らの研究チームは、降雨の影響でアフリカのマラ川の水位が上昇した時、
川の岸辺に死んだ魚が流れ着いている状況を目撃したことで、この現象の存在を確認しました。

研究チームは、この原因を突き止めるために調査を開始。
調査に3年の年月を要した結果、魚を殺した原因はカバのうんちであることが判明しました。
研究チームの1人であるエマ・ローシー氏は、実際のカバのうんちの量について「マラ川に生息するカバは4000頭以上いて、
1日で約9.3トンのうんちをしています」と語っています。

実際にカバが排便すると、うんちは川の底に沈みます。
そして、そのうんちを食べる微生物によって水中の酸素が消費され、水中の酸素濃度が低下。
さらに微生物の活動は「アンモニウム」や「硫化水素」といった魚にとって有毒な化学物質を生成します。

水がこの状態になったとしても、カバの生息する水場にとどまっているときは問題ありません。
しかし、川の水位が上昇してカバの水場にある無酸素水が、下流に流れ込んだ時に問題が発生します。
無酸素水が流入すると、下流の水は一時的な低酸素状態に陥ります。
そして、まだ分解途中のうんちが存在することによって、微生物に残りわずかの酸素も使い果たされることになり、
魚が窒息死してしまうのです。

ダットン氏らの研究チームによると、3年間の調査中、マラ川の水位が通常の2倍に上昇し、
カバの水場の水が下流に流れ込むケースが55回あったとのこと。
このうち水中の酸素濃度の低下を確認したのは49回、実際に魚を窒息死させることになったのは13回でした。

ダットン氏は「このシステムは、人間の影響を受ける前の生態系が、どのように機能していたかを示しています」と述べています。
魚を窒息死させることもある川の流れは、
一方では周辺に生息する鳥やワニなどの動物たちに食料を供給する役割をも果たしているというわけです。

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180518-hippopotamus-faeces-causes-hypoxia/