2018/06/23
大阪北部地震は「西日本大震災」の序章にすぎない
鎌田 浩毅
http://bunshun.jp/articles/-/7879
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日本の工業地帯を直撃する「南海トラフ巨大地震」の震源域(関東は除く) c鎌田浩毅

被害総額1410兆円の激甚災害が起こる

 これまで西日本では、巨大地震の約40年前から直下型地震が増加する現象が起こっている。
直近では1995年の阪神・淡路大震災が、直下型地震が増加する起点になっていると考えられており、
阪神・淡路大震災以降に西日本で起こった直下型地震の多くがこうしたプロセスにあるためと解釈される。
 つまり、結論から言えば、大阪府北部で起こった今回の地震は、2030年頃に起こると予想されている
南海トラフ巨大地震という「激甚災害」の序章にすぎない。つまり、大阪府北部地震は、
現象としては「想定内」の直下型地震であり、起こるべくして起きた地震と言える。

「首都直下地震」が2020年に起こる?

 では、今後の日本列島で何が起きるかを予測してみよう。
 その結果、現在の日本列島の「地下」の状況は、9世紀の日本と非常によく似ていることが解っている
(詳しくは拙著『日本の地下で何が起きているのか』岩波科学ライブラリーを参照)。東日本大震災に誘発された
約1000年周期の地殻変動と、西日本で約100年周期に起こっている地殻変動の2つがちょうど重なりあって、
複数の地震を連鎖的に起こす「大地変動の時代」に入ったのである。
 ここで歴史を繙き、9世紀に起こった地震を振り返ってみよう。まず、869年に東北地方を襲った「貞観地震」は、
場所・規模ともに東日本大震災と酷似している。貞観地震の9年後の878年には、マグニチュード7・4の直下型地震、
すなわち「相模・武蔵地震(関東諸国大地震)」が発生した。さらにこの9年後の887年には、南海トラフ沿いにマグニチュード9、
しかも震度7の激震と巨大津波が起きている。つまり、東海・東南海・南海の連動型地震「仁和地震」の発生である。
 これらの事例を21世紀に当てはめてみるとどうなるだろうか。東日本大震災は2011年に発生したが、
その9年後は東京オリンピックが開催される2020年に当たる。この頃、関東中央圏で直下型地震が起こり、
さらに9年後の2029年に南海トラフ巨大地震が起こる計算になる。