【5月2日 AFP】
合成麻薬のMDMAが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状改善に有用である可能性があるとした研究論文が1日、
発表された。MDMAは、ナイトクラブ常連者らの間で「エクスタシー(Ecstasy)」の通称で知られている。

 米国で行われた臨床試験では、職務中に心の傷を負い、消耗性疾患と診断された退役軍人、
消防士、警察官ら26人を対象に、3つの異なる投与量でMDMAが与えられた。MDMAは、摂取すると強い高揚感を誘発する。

 英精神医学専門誌ランセット・サイキアトリー(Lancet Psychiatry)に発表された研究論文によると、
このうち75ミリグラムと125ミリグラムの投与量を受けた人は、最少量30ミリグラムの投与量の人に比べ、
PTSDの症状が格段に改善した。

 対象となった26人は、MDMAの投与と並行して全員が心理療法を受けた。それぞれの投与量については伝えられなかった。

 米大の研究者らによると、2回目の投与から1か月後には、
投与量75ミリグラムのグループの86%がPTSDの診断基準に合致しなくなっていた。
同様の結果は、125ミリグラム投与群の58%、30ミリグラム投与群の29%でもみられた。

 研究の次段階では、前回投与量30ミリグラムの対象者に100〜125ミリグラムのMDMAを投与した。
その結果、症状の「著しい」改善がみられた。さらに研究者らの報告によると、
26人の1年後の症状は「著しく低減した」ままだった。臨床試験の参加者16人が、この時点で診断基準から外れていた。

 チームは、心理療法と「1か月間隔で2,3回の投与のみ」の速効薬とを組合せる、
この「薬物療法への新たなアプローチ」によって、
患者の治療を加速できる可能性があることが今回の試験では示されたとしている。

 一方、この結果について研究チームは、
精神疾患の患者が違法薬物のエクスタシーに助けを求めるべきということを意味するものではないと注意を呼び掛けている。

 今回の臨床試験では、参加者のうちの20人から不安症、頭痛、疲労、不眠症を含む85件の「有害事象」も報告されている。
それがMDMAによるものか、または他のものが原因かは分かっていない。

 MDMAによる治療をめぐっては、今後の研究を通じて、
主流の心理療法に本当に役立つものなのかを見極める必要がある。(c)AFP

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AFP
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