0001しじみ ★
2018/04/07(土) 17:23:10.09ID:CAP_USERなぜ、渡り鳥は、毎年、一定の時期に、長い距離をはるばる移動し、
決まった場所にきちんと降り立つことができるのだろうか。
この謎を解き明かすヒントとなりそうな研究成果が、このところ、相次いで発表されている。
■鳥の網膜にある青色光受容体が磁場を感知?
スウェーデンのルンド大学の研究プロジェクトは、
2018年3月、キンカチョウに関する研究成果を英国王立協会の学術誌
「ジャーナル・オブ・ソサエティ・インターフェイス」に発表した。
また、2018年1月には、ドイツのカール・フォン・オシエツキー大学オルデンブルグの研究プロジェクトによる
ヨーロッパコマドリの研究論文が学術誌「カンレントバイオロジー」に掲載されている。
これらの研究プロジェクトは、いずれも、鳥の網膜に「Cry4」と呼ばれる青色光受容体
「クリプトクロム」の一種が存在することを確認しており、
これを通じて、鳥が地球の磁場を感知しているのではないかと考察している。
■網膜、筋肉、脳にある光受容性タンパク質を調べる
「クリプトクロム」は、青色光を感知し、動物の概日リズムに作用する光受容性タンパク質だ。
鳥の磁気受容に関する仮説を1978年に初めて提唱した米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の
クラウス・シュルテン博士は、鳥の目の中にある「クリプトクロム」がその役割を担っているとの見解を示している。
ルンド大学の研究チームでは、キンカチョウの成鳥39羽を対象に、網膜、筋肉、脳にある「Cry1」、
「Cry2」および「Cry4」の三種類の「クリプトクロム」が概日リズムを示すのかを分析した。
その結果、網膜の「Cry1」と「Cry2」のレベルは概日リズムに従って変動した一方、「Cry4」はいつでも一定であった。
磁場を感知する「クリプトクロム」は昼夜を問わず一定のレベルを維持する必要があることから、
研究チームでは、「磁場を感知する働きを持っているのは『Cry4』である可能性が高い」と結論づけている。
同様の見解は、カール・フォン・オシエツキー大学オルデンブルグの研究プロジェクトでも示されている。
ヨーロッパコマドリの網膜にある「Cry1a」、「Cry1b」、「Cry2」には概日リズムの変動が認められたものの、
「Cry4」にはその変動はわずかしかみられなかった。
■シーズン毎に網膜の「Cry4」のレベルを調べた
さらに、この研究プロジェクトでは、ヨーロッパコマドリと渡りの習性がないニワトリを対象に、
渡りのシーズンである春や秋とそれ以外の時期において、網膜の「Cry4」のレベルを調べた。
その結果、ヨーロッパコマドリの「Cry4」のレベルは、渡りのシーズンにおいて上昇したが、
ニワトリにはこのような変化は認められなかった。
研究プロジェクトでは、これらの研究結果をふまえ、「『Cry4』が磁気受容性タンパク質であろう」と考察している。
いずれの研究成果も、「『Cry4』が渡り鳥の"体内コンパス"である」ことを証明するまでには至っていないが、
「Cry4」という有力な"候補"が特定されたことは、渡り鳥のメカニズムを解明するうえで大きな前進といえそうだ。
関連画像
https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2018/04/iStock-534086693a-thumb-720xauto.jpg
鳥が磁気を見るイメージ
https://www.newsweekjapan.jp/stories/2018/04/05/save/magnetic.jpg
関連動画
The Robin's Winter Song https://youtu.be/39MuRLiimrU
ニューズウィーク日本版
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-9893.php