研究が進むにつれ腸が人間の気分を左右する仕組みが明らかになってきており、
不安やうつは腸の状態と関係があり、腸内バクテリアが変われば行動も変わるといわれています。
腸内環境を変える食事として挙げられるのが野菜・果物全粒穀物、
低脂肪食品などを十分に摂取する「ダッシュダイエット」で、
うつのリスクを低下させることができるとされています。

The DASH Diet Helps Depression Symptoms - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/health/archive/2018/03/the-diet-that-might-cure-depression/556742/
https://i.gzn.jp/img/2018/04/02/diet-help-depression-symptom/heloisa-nass-428872-unsplash.jpg

20世紀、精神疾患の原因について調査していた著名な内科医たちは
「原因は自家中毒にあるのではないか?」という考えに至ります。
これは、腸内の微生物が宿主である人間を疲れさせ、
うつやノイローゼの状態にしているのではないかという考え方で、
1914年に発行された医学雑誌・Medical RecordではBond Stowという医師が自家中毒が不調や野心の欠如、
うつなどの原因であることを示唆し、「人の食事をコントロールするのはたやすいが、
腸内細菌叢を制御するのは難しい」と記しています。

また、ラッシュ医科大学のDaniel R. Brower医師は、
西欧におけるうつ病発生率の増加は食生活の変化によって胃腸内で毒素が発生していることが原因でないかと考えました。
当時の医学の多くが誤りを含んでいたように、Brower医師の「毒素」という考えは誤りでしたが、
「食生活が人の気分に影響を与え、腸内細菌がその役割を担っている」という発想は間違っていなかったといえます。

2018年4月に発表される予定の最新研究では6年半にわたって964人の高齢者を調査した結果、
ダッシュダイエットを行うとうつ病になる確率が低くなり、
一方で典型的な西欧の食事を取る人はうつの傾向が高くなることが示されました。
この研究で被験者らは、さまざまな食べ物をどのくらいの頻度で食べているかが尋ねられると共に、
毎年「うつであるかどうか」の質問を行って検査されました。
研究を行ったラッシュ大学医療センターの脳血管神経学者であるLaurel J. Cherian准教授は
「食べ物を薬として見る必要があります」
「うつの治療薬は素晴らしいものですが、多くの人は物事の『組み合わせ』によってうまくいきます」と語っています。

上記の研究はまだ査読が行われていませんが、
ダッシュダイエットについて「うつを抑える」という利益があるとしている研究は、ほかにもあります。

2018年1月に発表された研究では、ダッシュダイエットが思春期の少女たちのうつを減少させることが示されました。
精神疾患の半数は10代で発症することから、10代のうつを減らすことができるという結果は、
うつそのものの発症を食い止める方法になるとみられています。

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180402-diet-help-depression-symptom/

続く)