■中国の軌道上実験モジュール「天宮1号」が、
3月27日から4月10日までの間に、大気圏に再突入するとの最新予測が明らかに

2016年3月以降、制御不能のまま宇宙空間を彷徨い続けている中国の軌道上実験モジュール「天宮1号」が
地球と衝突する可能性については、これまでも幾度となく報じられてきた。
そして、いよいよ、その"Xデー"が近づこうとしている。

■3月27日から4月10日までの間に再突入

連邦研究開発センター(FFRDC)を運営するアメリカのエアロスペース・コーポレーションは、
「2018年4月3日から前後1週間、すなわち、3月27日から4月10日までの間に、
天宮1号が大気圏に再突入する」との最新予測を明らかにした。
欧州宇宙機関(ESA)でも、3月29日から4月9日までのいずれかと予測しており、
エアロスペース・コーポレーションの予測とほぼ一致している。


天宮1号が大気圏に再突入した場合、その大部分は燃え尽きるとみられるものの、
機体の破片が地表に到達する可能性が指摘されてきた。

■北海道南部から東北地方は、破片が落下する可能性が高いゾーン

エアロスペース・コーポレーションの最新予測によると、破片が落下する可能性のあるゾーンは、
赤道を中心とする北緯42.7度から南緯42.7度までのエリアで、
日本では、北緯42.7度にあたる北海道幕別町駒畠より南の地域がすべてこのゾーンに含まれている。
とりわけ、北海道の南部から東北地方までのエリアは、
破片が落下する可能性が高いゾーンに分類されていることにも留意すべきだろう。

しかしながら、破片の落下によって私たちに危害が及ぶ可能性は極めて低いとみられている。
エアロスペース・コーポレーションによると、破片が落下する可能性が高いゾーンでも、
特定の人が天宮1号の破片で被害を受ける確率は、
アメリカの宝くじ「パワーボール」に当選する確率の100万分の1未満にすぎないという。

■天宮1号は急速に高度を下げている

一方で、破片の落下リスクを過小評価せず、天宮1号の動向を注視すべきとの意見もある。

英紙ガーディアンの取材に対して、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天体物理学者ジョナサン・マクドウェル氏は、
2017年12月26日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地で打ち上げられたゼニットロケットの破片とみられる物体が、
2018年1月27日、ペルー中部のプカルバに落下したことを引き合いに出し、
「ロケットが大気圏に再突入し、地表に到達した例はこれまでにもいくつかあるが、
天宮1号は、特に大きく、密度が高いため、目を離すべきではない」と警告。

マクドウェル氏によると、ここ数ヶ月で天宮1号は急速に高度を下げており、
2017年1月時点では1週間あたり1.5キロメートルだったが、現在は1週間あたり6キロメートルと、そのペースが速まっている。

また、高度を下げるペースは宇宙空間の気象変化に影響を受けるため、天宮1号が地表に落下する時期を予測することは困難だ。
マクドウェル氏は「再突入の1週間前くらいになれば、ある程度の確度をもとに、議論しはじめることができるだろう」と述べている。

エアロスペース・コーポレーションでは、毎週、天宮1号の大気圏への再突入に関する予測を更新している。
"Xデー"とされる4月上旬までの期間は、最新の状況を定期的にチェックすることが賢明かもしれない。

関連ソース画像
https://www.newsweekjapan.jp/stories/2018/03/08/save/180308tiangong1.png
画像:「天宮1号」のイメージ
https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2018/03/tiangong-1-thumb-720xauto.jpg
関連動画:はやぶさの大気圏再突入の様子
NASA Team Captures Hayabusa Spacecraft Reentry https://youtu.be/gfYA4f-AIL0

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ニューズウィーク日本版
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/1-68.php