「完璧主義」な人は、「なんでも100%のクオリティでこなしてくれる『パーフェクトマン』で、仕事のできる人」と認識されがちです。
しかし、多数の研究結果を調べてみると、
完璧主義な人は精神疾患を発症する危険性が高いとする報告が後を絶たず、
研究者によると「完璧主義こそが精神疾患だ」という人もいます。
なぜ「完璧主義=精神疾患」ととらえられるのかをBBCが報じています。

BBC - Future - The dangerous downsides of perfectionism
http://www.bbc.com/future/story/20180219-toxic-perfectionism-is-on-the-rise

バース大学のトーマス・カラン氏の研究チームが発表した(PDFファイル)論文では、
1989年〜2016年のアメリカ人、イギリス人、カナダ人の大学生(計4万1641人)を対象に完璧主義の傾向のある人が
どのように変化しているのかを調査した結果が掲載されています。
調査によると1989年の学生と比較して、2016年には約55%の学生に完璧主義の傾向が見られることがわかりました。

また、「青少年の5人に2人が完璧主義者」であると指摘するのが、ウエストバージニア大学のケイティ・ラスムッセン氏。
完璧主義者は年齢に関係なく、「うつ病」「不安」「自傷行為」「社交不安障害」「広場恐怖症」「強迫性障害」「摂食障害」「心的外傷後ストレス障害」
「慢性疲労」「不眠症」「消化不良」「慢性頭痛」などを引き起こす可能性があります。
さらに問題なのは、完璧主義者が一度挫折を経験してしまうと、自殺に及ぶ可能性が高くなるとのことです。
このため、完璧主義者が増えてくることは望ましいものではなく、自己を破壊するものにつながると指摘しています。

カーティン大学のサラ・イーガン氏は、世間的に完璧主義がポジティブに捉えられるのは、完璧主義の人のうち、高い意欲を持って目標に向かい、
さらに一定以上の無理はしない「健全な完璧主義者」の存在によるものだと指摘しています。

これに対して、「不健全な完璧主義者」はベストを尽くしてもなお内容に満足していないことが多いとのこと。
また目標を達成できなければ、余計にイライラする傾向にあります。1000人以上の中国人学生を対象にした(PDFファイル)研究では、
リーダーシップやその他さまざまな尺度で評価し「才能がある」とされた学生が「健全な完璧主義」である一方、
圧倒的大多数の「才能がない」グループの学生は「不健全な完璧主義」である傾向が強いことを示されています。

ヨーク・セント・ジョン大学のアンドリュー・ヒル氏は、完璧主義者のグループとそうでない人のグループを作り、
事前に勉強する時間を与えた後に試験を受けさせるという実験を行いました。
試験問題は意図的に事前に説明した内容とは異なるものを出題し、誰もいい点が取れないような細工が行われました。
その結果、完璧主義者のグループはより強い不幸を感じたことがわかりました。
なお、完璧主義者のグループとそうでない人のグループの勉強していた内容には大差がなかったことがわかっており、
完璧主義者とそうでない人の努力量に変化がないことも確認できたとのこと。
「完璧主義者は失敗すると、感情的になりやすく、厳しくあたる傾向にあります。
また、激しい罪悪感とともに、必要以上の恥を感じています」とヒル氏は語っています。

世界保健機関(WHO)によると、記録的な数の若者が精神疾患を経験しており、
うつ病、不安、漠然と死を願う「自殺念慮」は2008年から一般的なものになったとのことです。
そして、完璧主義の傾向がこれらの病気を発症させる可能性が予測されています。
ヒル氏は「不安と抑うつに対する、最も強力な手段は『自分にやさしくする』ことであり、
これは完璧主義者が最も欠いているものです」と語っています。

ゲント大学のバート・ソーネンス氏らの研究では、
子どもが間違いを犯した時に罪悪感を感じさせるような対応を行うと、
その子どもを完璧主義者にする傾向が高くなることを示しており、
うつ病を発症する可能性が高いことを示しています。
カラン氏は「子どもには厳しく接するよりも愛情を持って接することが大切です」と述べています。

関連ソース画像
https://i.gzn.jp/img/2018/02/27/dangerous-downsides-of-perfectionism/01.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180227-dangerous-downsides-of-perfectionism/