「『独身者はみじめで孤独であり、独身でなくなることをなによりも望んでいる』ということが信じられていますが、
ただの都市伝説です」と語るのはハーバード大学で博士課程を修了し、
2018年現在はカリフォルニア大学サンタバーバラ校で心理・脳科学部で働くBella DePaulo氏がTEDで講演した時の言葉。
DePaulo氏の言葉が示すように、これまでに行われた複数の科学研究で、
「独身であること」の科学的・心理的利益が示されています。

Why it's better to be single, according to science - BI
http://www.businessinsider.com/why-single-is-better-according-to-science-2018-2

Natalia Sarkisian氏とNaomi Gerstel氏という2人の社会学者が2015年に行った研究で、
アメリカにおける独身と既婚の成人がどのように親戚・近隣住民・友人らと関わっているかを調査したところ、
独身者は社会的ネットワークに頻繁に接触しているだけでなく、既婚者よりも、
これらの人々から援助を受けやすく、また援助を行いやすいということが判明しました。
このような傾向は人種・ジェンダー・収入といった要素を考慮しても同じだったとのこと。

近年の研究では、友情をはぐくむことは幸福を増大させることが判明しており、
定期的に10人以上の他人と連絡を取っている人は、
そうでない人に比べて幸福感が著しく大きいという調査結果も存在します。

ハーバード大学が75年以上にわたって続けている研究でも、
「よい人間関係は人を健康にし、幸福にもする」ということが示されています。

この研究で重要なのは、求められる人間関係が「家族」ではなく「友人関係」であるということ。
ミシガン大学の心理学准教授であるWilliam Chopik氏は、28万人を対象に行った2つの研究で、
「年を重ねるにつれて友情は重要なものになってくる」ということを示しています。
Chopik氏によると、高齢になると「家族関係」以上に「友情」が幸福と健康の予測材料になるとのこと。
独身者が家族以外のコミュニティとつながりを持ち、友情関係に投資することは、
本人の幸福感に大きく関わってくるわけです。

さらに、18歳から64歳までの1万3000人を対象とした調査では、
一度も結婚した経験のない独身者は既婚者や離婚経験者に比べて週当たりの運動頻度が多いという結果が出ており、
またヨーロッパに住む4500人の被験者のBMIを比較すると独身者の平均BMIは既婚者のそれよりもわずかに小さいことが判明しています。
後者の研究によると、既婚者は独身者よりも平均5ポンド(約2.3kg)も体重が重かったそうです。

心理療法士のAmy Morin氏も独身であることの利益を語っており、一人でいることは自由の感覚を増加させ、
クリエイティビティや人との親交の度合いを高めると複数の研究が示しています。
「一人でいるために孤独である必要はありません。一人でいることにより、
自分自身をよりよく知ることが可能になるのです」とはMorin氏の言葉。
また、独身者の方が既婚者よりも自己決定の間隔が強く、心理的な成長を経験しやすいという研究結果もあります。

独身者の心理的利益に関する研究はまだまだ数が少ないものの、これまでのところ、
「ロマンティックな関係には利益があるが、独身であることもまた利益がある」ということが示されていると言えます。

関連ソース画像
https://i.gzn.jp/img/2018/02/24/better-to-be-single-science/david-thomaz-456732-unsplash.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180224-better-to-be-single-science/