伝染病のはしか(麻疹)のウイルスが人に感染する際に、
細胞に侵入する役割を担う「Fたんぱく質」の構造を
九州大大学院医学研究院の橋口隆生准教授(ウイルス学)らの研究グループが世界で初めて解明したと20日、公表した。
はしかは予防ワクチンはあるが、根本的な治療薬はなく抗ウイルス薬の開発につながることが期待される。

はしかウイルスは表面の膜にあるFたんぱく質が細胞同士を融合させ人の細胞に侵入する。
研究グループはFたんぱく質の構造を原子一つ一つまで映像化。
さらに細胞膜の融合を抑えるとされる2種類の阻害剤を加えるとFたんぱく質の特定の部位に結合し、
感染を防ぐメカニズムを解明した。Fたんぱく質の標的部位が明らかになったことで、
阻害剤の改良による治療薬の開発が進むとしている。

 橋口准教授は「Fたんぱく質の構造情報はどの研究者も自由に使えるように公開した。
確実により良い薬を開発できる環境になった」と話している。

 はしかは感染性の強いウイルスで、発熱や発疹のほか、
感染から数年を経て亜急性硬化性全脳炎を発症する場合がある。
世界保健機関(WHO)によると、2016年の感染による死者数は推定約9万人だった。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180220/k00/00e/040/257000c