【2月8日 AFP】
ごくありふれたアミノ酸の体内の生成量や食物からの吸収量を抑えると、
乳がんの転移を阻止できる可能性があることがマウスを使った実験で判明した。研究結果が7日、発表された。

 がん細胞が肺、脳やその他の臓器や骨に拡散し、腫瘍を形成する「転移」は、がん死につながる作用として知られている。
研究チームは今回の研究成果を通じて、
がん細胞が女性の胸部内の発生部位から拡散するのを防ぐ方法がもたらされる可能性に期待を寄せている。

 研究チームによると、マウスを使った今回の実験では、
非必須アミノ酸の「アスパラギン」が乳がん拡散でのカギとなっている可能性があることが明らかになったという。
研究論文は英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 タンパク質の構成単位であるアスパラギンは、がん細胞を含む人体内のあらゆる細胞で産生される他、
牛肉、乳製品、鶏肉、魚介類やアスパラガス、大豆などの食物から吸収される。

  論文の主執筆者である英ケンブリッジがん研究所(Cancer Research UK Cambridge Institute)のグレッグ・ハノン(Greg Hannon)氏は、
マウス実験で「腫瘍細胞のアスパラギン生成能力を変化させるか、体内でアスパラギンの可用性を低下させる薬剤でマウスを治療する、
もしくは餌からアスパラギンを除去するかのいずれかの方法で、転移を減少させることができた」と説明する。

 ハノン氏はAFPの取材に、マウスに与える餌に含まれるアスパラギンを減らすと転移が半減したと語った。
また、アスパラギンを制限するその他の方法と組み合わせることで、転移は約20分の1に抑えられたという。

■「重大な成果の可能性」

 研究チームによると、食事の変化をがんの拡散を促進する生体内作用に関連づけたのは、
今回の研究が初めてとなる可能性があるという。

 では、アスパラギンを制限した食事で、実際にがん患者の腫瘍拡散を阻止することにつながるのだろうか?
これについて研究チームは、人のがんにおけるアスパラギンの役割に関して結論を急いだり、
食事の変更を推奨したりするのは時期尚早と注意を促す。

 ハノン氏はAFPの取材に、「研究は重大な成果となる可能性がある」としながらも、
今後さらに多くの研究を重ねる必要があることを強調した。

 ただ「人間に置き換えられる保証はない」と述べる一方で、
マウスと同様の作用が働いていることを示す有望な兆候が見られたことを付け加えた。(c)AFP

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AFP
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