高温の化学物質を噴射するミイデラゴミムシ、驚異の生存戦略が判明

オサムシ科ホソクビゴミムシ亜科の甲虫は、危険にさらされると、お尻のほうから高温で臭い化学物質を噴出する。
俗に「屁っぴり虫」と呼ばれ、日本のほか韓国や中国に生息するミイデラゴミムシ(Pheropsophus jessoensis)もその一種だ。

 だが、それだけではない。カエルなどに食べられると、のみ込まれたあとにその「屁」を噴射して捕食者に吐き出させるという。
しかも、この昆虫は両生類の消化管の中でもしばらく生き残れることが、神戸大学の杉浦真治、佐藤拓哉両氏の研究により明らかになり、
2月7日付けの科学誌「Biology Letters」に発表された。

 捕食された後に逃げ延びる生きものは他にもいる。
たとえば、ヒキガエルの体内を生きたまま通り抜け、肛門から無事生還した小型のヘビ(Ramphotyphlops braminus)の例もある。
だが、この種の甲虫がお尻から発する「屁」で攻撃して、捕食者にのみ込まれてさえも生き延びることが発見された例は初めてだ。

「大変な話題になるでしょうね」。
今回の研究には関与していない米アリゾナ大学の昆虫学者、ウエンディ・ムーア氏は語る。
「衝撃的です。今回の研究は人々の興味を引くし、コレクターにとっては効果絶大でしょう」

〈のみ込まれてからの逆転劇〉

 ホソクビゴミムシの仲間は、特別珍しい甲虫ではない。南極を除くすべての大陸に500を超える種がおり、
そのすべてが下腹部にある特殊な器官で毒性の強い化学物質を作り出す。

 その器官の中では、最終的に刺激性の強いベンゾキノンという物質と水(水蒸気)が高熱とともに生成される。
そして、器官の特殊な形状のおかげで、高温で臭い混合物が勢いよく噴射されるというわけだ。

 こうした化学的防御の研究中、神戸大学の杉浦氏と佐藤氏は、
ミイデラゴミムシを1匹のナガレヒキガエル(Bufo torrenticola)に与えてみた。
カエルはすぐにのみ込んだが、44分後にカエルは餌を吐き出したという。
驚いたことに、吐き出されたミイデラゴミムシは食べられる前と変わらない状態だった。

 ミイデラゴミムシが捕食者にのみ込まれる前に口から吐き出されることはわかっていたが、
のみ込まれた後に吐き出されるのは初めて見ました、と杉浦氏は話す。

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ナショナルジオグラフィック日本版サイト
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/020900060/