国立大学の研究所代表でつくる「国立大学付置研究所・センター長会議」の梶田隆章会長(東京大宇宙線研究所長)は6日、
政府の新年度予算案で研究プロジェクト費が8億円削減される見通しになったことに対し、
「研究の基盤が揺らぎかねない」と述べた。海底に設置した地震計が回収できなくなったり、
火山の観測データに欠損が出たりする恐れがあるという。

 国立大学には約80カ所の研究所があり、大型プロジェクトなどを担う共同研究の拠点になっている。
梶田さんは記者会見で、「研究所を活用した学術論文の数はここ5年間で52%増えた」と実績を挙げた上で、
予算削減で研究計画が滞るなどの影響が出る可能性があると説明した。

 文科省によると、新年度予算案では、全国の国立大学研究所の研究プロジェクト費は2割減る方針。交付される予算は、
今年度の61億円から新年度は53億円にとどまる見込み。研究所の運営経費は維持される。

 一方、新年度予算では、新しい政策として、海外から来た研究者の滞在費や旅費の支援に3億6千万円が盛り込まれた。
これに対し、梶田さんは「研究費を補うものにはならないだろう」と話した。

画像:記者会見する梶田隆章・東京大宇宙線研究所長(右端)ら
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朝日新聞デジタル
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