神戸薬科大臨床薬学研究室の池田宏二准教授(循環器内科)らのグループは29日、
この「不健康な肥満」と「健康な肥満」の謎に迫る遺伝子をマウス実験で特定した、と発表した。
論文は近く、米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。
肥満に伴う糖尿病やメタボは、
血糖を下げる働きを持つホルモン「インスリン」がうまく作用しない場合に発症すると考えられているが、
分子レベルでの仕組みは不明な点も多い。
グループは、マウスが肥満になると一般に、
遺伝子の一つ「Fam13a」が健常のマウスの約10分の1に激減することを確認。
マウスの脂肪細胞でこの遺伝子を欠損させたところ、肥満でなくても軽いインスリン作用不全を示した。
マウスを高脂肪食で太らせると、こうした作用不全は著しく進行した。
一方、Fam13aの発現率を高めたマウスは、太ってもインスリンが十分に機能し、
糖尿病やメタボになりにくいことが判明。
この遺伝子がインスリンの作用に重要な役割を果たしていることが分かった。
池田准教授は、「ヒトでも、Fam13aの発現率を高めれば、
糖尿病やメタボを予防、治療できると推察できる。今後、証明していきたい」と話している。
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180130/k00/00m/040/132000c