http://japanese.engadget.com/2018/01/19/nasa-kilopower-3-4-5-10

各国の宇宙機関やSpaceXといった企業が、現在最も大きな目標として掲げるのが、火星への有人探査ミッション。そこでは火星の大地に居住施設を設けることも検討され、実際に火星を想定した隔離生活実験も行われています。

しかし、そうした火星での生活のために必要な電力その他のエネルギーをどう確保するか、また地球へ帰還するためのエネルギーはどうするのかという問題は、まだ解決されていません。

NASAのロスアラモス国立研究所とアメリカ合衆国エネルギー省(DOE:Department of Energy) は、火星探査に必要なエネルギーを現地で発生する発電ユニット「Kilopower」を開発しており、そのシステム試験に成功したと発表しました。



Kilopowerは放射性物質の核分裂を利用して発電する宇宙用核分裂システム。燃料にはウラン235を使用しており、放射性崩壊から得た熱をヒートパイプで高効率スターリングエンジンに送り、そこで電気に変換します。

開発チームはここまでの試験は問題なくスムーズにこなすことができたとして、この3月には出力を最大の10kWにまで高め、28時間の連続運転試験を実施する予定です。

映画「オデッセイ」では、火星での電力供給に太陽光パネルで電力を供給する一方、無人時の電力供給用としてRTG(Radioisotope thermoelectric generator:放射性同位体熱電気転換器)と呼ばれるユニットが登場しました。

RTGはプルトニウム238の放射性崩壊の熱と熱電対を利用して電力を発するシステムで、古くはパイオニアやボイジャーから、最近でも土星に突入して役目を終えたカッシーニといった無人探査機によく使われています。Kilopowerは、RTGの次世代を担う宇宙ミッション向けエネルギー源として開発されています。

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