日本での治験(臨床試験)開始が決まった「がん光免疫療法」の実用化に取り組む
米製薬ベンチャー「アスピリアン・セラピューティクス社」は16日、
同療法について米食品医薬品局(FDA)が審査を迅速に進める「ファストトラック(Fast Track)」に指定されたと発表した。

ファストトラック制度は、重い病気や他に有効な治療法がない病気に対する治療法を対象に、
患者へ早く新たな治療を届けるために開発を促進し、審査の迅速化を図る。既存薬がない場合に加え、
既存薬の有効性や安全性を上回ると期待される場合に指定される。
指定されるとFDAと協議したり助言を受けたりする機会が増え、
治験の結果によっては新薬の承認申請をした際に迅速承認、優先審査の適用などの対象になる可能性もある。

 同療法の米国での治験は2015年に始まり、第2相試験まで終了。
従来の抗がん剤を超える奏功率となっているという。
日本では3月から、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で再発頭頸(とうけい)部がん患者への治験が始まる。

 同社会長を務める楽天の三木谷浩史会長は「アスピリアンが、ゲームを変えるような技術革新を成し遂げたことに興奮している。
がん征服は野心的な目標と思われるかもしれないが、それを最終目標に据え、謙虚に努力していきたい」とのコメントを発表した。

 また、現在の治験は、がん細胞表面に結びつく抗体を使い、がん細胞を直接攻撃する仕組みの治療法についてだが、
同社は次の臨床研究として、がん細胞を体内の免疫細胞の攻撃から守っている制御性T細胞を壊すことによるがん治療を計画していることを発表した。

画像:がん光治療治験の仕組み
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毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180118/k00/00m/040/027000c