◆近大グループ、肝臓がんの新治療法を実証 2倍近く進行遅らせる 「患者の希望に」

近畿大医学部の工藤正俊教授らの研究グループは、切除不能となった肝臓がん患者について、既存の二つの治療法の併用することでがんの進行を遅らせる臨床試験を行い、有効性と安全性を世界で初めて実証したと発表した。
工藤教授は「この手法が標準治療となり、肝臓がん患者の希望になることを目指す」と話した。

組み合わせた二つの治療法は、病巣に栄養を送る動脈をふさいで壊死(えし)させる「肝動脈化学塞栓療法」(TACE)と、切除不能の肝臓がんなどに効果がある抗がん剤「ソラフェニブ」の投与だ。
TACEは血管を新たに作る作用を持った因子を誘発しやすく、がんが再発・転移しやすいという課題があった。
一方でソラフェニブには、がん細胞の周辺に新たに血管を作らせない働きがあり、併用による成果が実証できれば、がんの再発などを抑えることができるとされていた。

研究グループは平成22〜29年、国内の33施設で、この新たな治療法による臨床試験を実施。
TACEのみの治療を施した患者群と比べ、がんが進行しない安定した期間が、2倍近く伸びたことが判明した。

産経ニュース 2018.1.17 10:25
http://www.sankei.com/west/news/180117/wst1801170029-n1.html