福岡県の60代の女性が、猫などの動物から人間にうつる感染症によって、
おととし死亡していたことがわかり、
厚生労働省はペットの動物などとの過剰な接触を避けるよう注意を呼びかけています。

この感染症は「コリネバクテリウム・ウルセランス」と呼ばれる菌に感染して起きるもので、
おととし5月、福岡県に住む60代の女性が呼吸困難に陥り死亡しました。

この感染症は犬や猫などの動物が持つ菌に感染することで発症し、
厚生労働省によりますと女性はふだんから屋外で野良猫に餌を与えていて、
その際に感染したと見られています。

感染するとかぜに似た症状などが出て、重い場合は呼吸困難を引き起こすおそれもあり、
去年11月までに国内で25人の感染が報告されていますが、この感染症による死亡が確認されたのは初めてだということです。

抗生物質を投与することで治療でき、厚生労働省は今月、自治体や医師会などに通知を出して、
感染が疑われるケースがあれば報告するよう求めました。
厚生労働省はかぜに似た症状が出ているペットや動物との過剰な接触を避けることや、
動物に触ったあとには手洗いなどを徹底するよう呼びかけています。

〈官房長官「過度に反応せず冷静に対処を」〉

菅官房長官は午前の記者会見で、「この感染症による人から人への感染事例はほとんど無く、
治療法も存在しており、過度に反応することなく、冷静に対処していただきたい。
感染した場合は、速やかに適切な治療が行われることが重要であり、
引き続き適切な医療が提供されるよう対応していきたい」と述べました。


※〈コリネバクテリウム・ウルセランスについて〉
コリネバクテリウム・ウルセランスはジフテリア菌と近縁の細菌で、
人に感染した場合は発熱、鼻汁などのかぜの症状やのどの粘膜に偽膜と呼ばれる白っぽい膜を形成したりします。
2001年から2009年6月までコリネバクテリウム・ウルセランス菌による人への感染例は国内で6例報告されていて、
死亡例はありません。動物とのかかわりについては、冒頭の1例の女性がノラ猫の世話をしていた他、
2例においてそれぞれ猫を20頭、12頭飼育していました。
また他の1例においては慢性の皮膚病の犬を飼育していました。
冒頭のノラ猫の世話をしていた女性については、ノラ猫の細菌検査もなされていて、
女性から分離された菌と遺伝子レベルで同一のコリネバクテリウム・ウルセランス菌が確認されています。
この事から女性は世話をしていた猫から感染したと考えられています。
他の報告例については飼育の事実だけしかわかっていません。

埼玉獣医師会
www.saitama-vma.org/topics/コリネバクテリウム・ウルセランスとは何ですか/

NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180115/k10011289341000.html