東京都立井の頭公園(武蔵野市、三鷹市)の井の頭池に生息する水鳥・カイツブリの繁殖が盛んになっていることが、
認定NPO法人「生態工房」(武蔵野市)の調査でわかった。

 池では水を抜いて水質を改善させる「かいぼり」を実施しており、
在来種のエビや小魚などの餌が豊富になったことが要因とみられる。
関係者は「本来の生態系に戻れば」と期待を寄せている。

 井の頭池のかいぼりは、水質浄化と外来種の駆除を目的に2013、
15年度と2回実施。先月末からは3回目が始まり、13、14日は池の生き物を都民らが捕まえ、
外来種と在来種により分けるイベントが行われる。

 同園で野鳥の調査などを行っている生態工房では、2回のかいぼり後の16、
17年の繁殖期(4〜8月)にカイツブリの調査を実施。
17年は6つがいの繁殖行動が確認されて33羽のヒナが誕生しており、16年を13羽上回ったという。

 かいぼりによりオオクチバス(ブラックバス)やブルーギルといった肉食の外来魚が減少。
カイツブリの餌となるエビ類やモツゴなど小型の在来魚が増加したことが、繁殖数が増えた要因とみられるという。

 同法人職員、八木愛さん(29)は「餌のレパートリーも増え、
カイツブリにとってより餌を得やすい環境に変わってきた」と分析。
「ただ水辺に生育するヨシなどの植物が不足しており、
カイツブリが身を隠しながら子育てできる環境はまだ整っていない。
今後も継続的に調査していきたい」と話している。

 ◆カイツブリ=小型の水鳥で全国に分布。水に潜って小魚などを捕まえる。
湖沼で草などを積んで「浮巣」を作って繁殖。初夏になると、ヒナを背中に乗せて泳ぐ姿も見られる。

画像:エビを捕まえ、ヒナに食べさせるカイツブリのペア(2017年6月13日、井の頭池で撮影)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20180113/20180113-OYT1I50016-N.jpg

読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/eco/20180113-OYT1T50039.html