【1月12日 AFP】
火星で地下氷河を発見したとの研究結果が11日、発表された。
火星で入手可能な水の量とその位置について新たな示唆を与える成果だという。

 米科学誌サイエンス(Science)に発表された論文は、火星上に氷が存在することは以前より知られていたが、
氷の厚さと位置に関する理解を深めることは未来の有人探査に不可欠ととしている。

 論文によると、火星表面の8か所で氷が浸食作用によって露出しており、
そのうちの一部は表面から1メートルほどの浅いところから地下100メートル以上にまで達しているという。
米地質調査所(USGS)の地質学者、コリン・デュンダス(Colin Dundas)氏は
「この種の氷は、これまで考えられていたより広い範囲に及んでいる」とコメントした。

 この氷の急斜面について論文は「ほぼ純粋な氷」と思われるとしている。
今回の研究は、2005年に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)の火星周回探査機
「マーズ・リコネサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter、MRO)」の観測データに基づくものだ。

 氷斜面にはしま模様があり、色の変化がみられる。
このことは、氷が層ごとに形成されたことを示唆しており、
雪が長い間に堆積して氷床となるように形成されたことが考えられるという。

 表面が滑らかでクレーターの穴が見られないことから、
研究チームは氷が比較的最近に形成されたと推測している。
クレーターは、天体の破片などが長い間に火星に衝突することなどで形成される。

 8か所の氷斜面はすべて火星の極近くに位置していた。
このエリアは火星の冬の期間に極寒の暗闇の領域に入るため、
長期に及ぶ有人探査の野営地には適していない。
だが、この氷河の1つからサンプルを掘削できれば、
地球の隣にある惑星の火星の気候史と生命存在の可能性に関する多くの情報を得ることができるだろう。

 NASAは2030年代までに有人探査ミッションを火星に送り込むことを計画している。(c)AFP


画像:火星の冬に撮影された雪や氷。
米航空宇宙局(NASA)の火星周回探査機「マーズ・リコネサンス・オービター」が観測
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AFP
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