http://sp.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/3/23326.html
2018年01月08日 08時00分

 相性が良いカップルは、遺伝子レベルで相手の体臭を嗅ぎ分けるという研究があるが、女性の場合は、彼が着たシャツの匂いを嗅ぐだけでストレスが軽減することが、カナダの大学の心理学実験で裏付けられた。

 パートナーと遠く離れている間、女性のなかには彼のシャツを着たり、ふだんは彼が寝ている側のベッドで眠る人がいる。ブリティッシュコロンビア大学(UBC)大学院で心理学を研究するマリーゼ・ホッファー氏のグループは、この行動に着目し、96組の男女カップルを集めて、ストレスに関する実験を行った。

 男性に清潔なTシャツを24時間着てもらったあとに、このTシャツを凍らせて付着した体臭を保存する実験で、この間、男性には消臭剤や香水、香りのするボディソープやクリームの使用を禁じ、喫煙や体臭に影響を与える特定の食品を食べないよう指示した。

 その後、女性には無作為に選んだTシャツの匂いを嗅いでもらい、精神的にストレスを感じるような圧迫面接やテストを受けてもらった。その後、唾液を採取して、ストレスを感じると分泌量が増えるホルモンの「コルチゾール」の変化を調べた。

 その結果、女性は誰が着たか教えていないのにもかかわらず、パートナーのTシャツの匂いを嗅いだあとは、ストレス耐性テストの前後で感じるストレスレベルが下がった一方、見知らぬ男性の匂いを嗅いだ女性は、コルチゾールの分泌量が高くなった。

 見知らぬ人間の体臭がストレスレベルに影響を与える問題について、研究者は「進化的要因が関係しているのかもしれない」と推測。「女性は幼少期から見知らぬ人、特に男性を警戒するように育てられているため、知らない男性の匂いがストレスレベルを高め、“闘争・逃走反応”を引き起こす可能性がある」と述べている。

 そのうえで、今回の実験結果は、グローバリゼーションが進んだ現代社会において、パートナーや家族と離れて生活する人も多いなか、愛する人が着ていたシャツを身にまとうことで、無意識にストレスを軽減しようとしているのかもしれない」と指摘している。