子どもの発達障害を早期に発見するため、
国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)が作成した幼児の検査法「M―CHAT」が全国的に広がりを見せている。

 専門家は早期発見後、早期の療育につなげることの重要性を指摘している。

 23項目の質問からなるM―CHATは約10年前、
同センターの神尾陽子・児童・思春期精神保健研究部長らが日本語版を作成した。
発達障害の中で最も幼いうちからあらわれる自閉症スペクトラム障害を発見するツールで、1歳6か月から3歳が対象だ。

 東京都江戸川区は3年前、M―CHATを導入した。1歳6か月児歯科健診で、
23項目から主な八つの質問を抜き出した簡易版をもとに、「何か欲しいものがある時、
指をさして要求するか」などを尋ねる。一つでも「いいえ」があればM―CHATを使って、母子相談を続ける。
その結果、必要があれば、区の育成室や医療機関などにつなげている。

 M―CHATの有効性は国内の健診による長期追跡調査で検証されており、
厚生労働省障害児・発達障害者支援室も「科学的に信頼できる早期発見ツール」として普及を進めている。
乳幼児健診で2014年度に活用した市町村は全国で124か所だったが、16年度には274か所に増えた。

 ただ、全体の15・9%とまだ少ない。発達障害では早期療育が有効とみられており、
神尾部長は「症状が改善できれば、本人も家族も社会も幸せになる。
早期発見、早期療育の適切な手法を全国的に普及させたい」と話している。

 ◆発達障害=対人コミュニケーションや場面に合わせた柔軟な対応が不得意な「自閉症スペクトラム障害(ASD)」、
じっとしていることが難しく、衝動的な行動が見られる「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、
読み書きや計算が苦手な「学習障害(LD)」などがある。約6%の人に発達障害があるとされる。

読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/20171225-OYT1T50066.html