秋田県内各地で人がクマに襲われたり、農作物が食い荒らされたりする中、
北秋田市は6日、同市の「くまくま園」で「クマによる被害防止のための公開講座」を開いた。

 講座は、研究活動に関する連携協定を結ぶ北海道大大学院との共催。クマの生態に詳しい専門家からは、
人間を恐れない「新世代のクマ」の存在などが指摘され、集まった約30人の農林業関係者や自治体の防災担当者、
山岳ガイドらは真剣な表情で耳を傾けた。

 講師を務めた同大学院獣医学研究院の坪田敏男教授は「クマの被害にあわないために」と題し、クマが人里に近い場所に生息域を広げている状況を分析。
県内では昨年、今年と続けて大量に出没していることについては「異常事態」とした上で、「森林構造など生息域の変化や、
人を気にしない『新世代のクマ』の存在が考えられる」との見方も示した。

 県立大の星崎和彦准教授は、県内での調査に基づいて「秋田県のクマの生息動向について」をテーマに講演。
県内では推定約1000頭とされていた生息数を大きく上回る可能性を指摘し、「出没した地域での情報共有や広域での連携、共同の対策も必要だ」と語った。

 講座では、人間が廃棄する果物などが、クマを人里へと誘う原因になっていることも取り上げられ、適切な農業廃棄物処理の必要性にも話題が及んだ。
講師らからは、「クマと遭ったらどうするではなく、事前に声で人の存在を知らせる対応が効果的」との助言もあった。


読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171107-OYT1T50016.html